[第14回東京―北京フォーラム] 低炭素とAIで新型協力を

2018-11-23 11:03:34

次世代デジタル情報技術、低炭素技術を代表とする第4次産業革命の波は世界規模で起きている。中日両国がいかに第4次産業革命の発展のチャンスをつかみ、中日の新型協力を実現するかが、今年の特別分科会で両国のパネリストが注目する焦点になった。

制度の構築と技術の革新から

ここ数年で地球温暖化を予防コントロールすることは世界的な課題になった。世界の気温上昇を2度以下に抑えるための、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出削減に関する取り組みには一刻の猶予も許されない。

中国人民政治協商会議第13期全国委員会委員で中国社会科学院日本研究所研究員の高洪氏は次のように述べた。中国政府が近年打ち出した「五位一体」の発展理念は低炭素社会構築のために強力な政策支援を提供した。中日双方は低炭素社会構築の分野で、スタートの時間や発展レベル、産業構造こそ異なるが、大きな相互補完性と協力の余地がある。地球温暖化が進む現在の情勢に対し、高氏は次のように強調した。低炭素社会を構築するには、「自国第一主義」ではなく国家間の技術と資金協力を強化すべきだ。

元三井物産株式会社副社長の木下雅之氏は過去40年のキャリアに基づき、次のように述べた。日中両国の国内総生産(GDP)は世界全体の約25%を占めており、そのうち、製造業の比重が大きく、エネルギー消費も大きいので、低炭素社会構築で協力を強化すべきだ。どのようにして低炭素社会を構築するかを考えるとともに、経済が持続的に成長し、より多くの国が低炭素社会がもたらす利益を共有できるように確実に保証するにはどうしたらいいか。日中両国は制度のレベルで低炭素社会の発展について、新しいルールを制定すべきだ。

富士通株式会社副会長の佐々木伸彦氏、株式会社NTTデータ相談役の岩本敏男氏はそれぞれ中国での仕事の経験を語り、最近起きた北海道胆振東部地震による停電問題を例に挙げて、日中両国が低炭素社会を構築する際に直面する難題について議論した。中日のパネリストは、低炭素社会を構築するためには制度の構築以外に、省エネ意識やエネルギー効率の向上などでより多くの取り組みと協力を展開すべきだと考えた。

デジタル経済の発展

インターネット技術や情報技術が広く利用されるにつれて、モバイル決済、人工知能(AI)、ビッグデータ分析などの最新技術が世界経済の形態を大きく変えているとともに、中日協力に新たなチャンスと課題をもたらした。

岩本氏は次のように指摘した。デジタル経済時代に入り、ビッグデータを代表とするデジタル情報は極めて貴重な財産になりつつある。それが誰に帰属するか、誰に管理運用されるかは、現在の情報化時代において解決を迫られる課題だ。中日両国は情報制度の構築などについて協力を検討することが考えられる。

科大訊飛有限公司上級副総裁の江濤氏は、中日両国は高齢化社会や労働力不足の問題に直面していると指摘し、次のように強調した。AIの利用は課題に対する突破口となるはずだ。中日両国は対等に知的財産権を尊重し、学術研究と応用研究開発の協力を強化し、AIの国際協力、関連法律法規制度の構築において協力を展開すべきだ。

株式会社野村総合研究所研究理事の桑津浩太郎氏は次のように述べた。現在、欧米諸国はAIの利用について多くの疑念を持っている。それとは対照的に、日本と中国はより積極的にAIとロボットを受け入れている。中日両国の立場は一致しており、AIとロボットを利用する上で、手本を示し(8)、関連するルールを確立し、整備していくべきだ。

360集団副総裁の曲氷氏、騰訊網(Tencent.com)副総編集長の龍兵華氏、VIPKID大米科学技術公司CEO特別補佐の徐喆氏は、中国が今年ネットセキュリティーの管理、モバイル決済、オンライン教育の分野で行ったイノベーションと実践をそれぞれ紹介した。前金融担当大臣の中塚一宏氏は、日本でデジタル経済が発展する中でいかに個人情報を保護するかについての心配を率直に述べた。

4時間にわたる議論を経て、双方のパネリストは、両国で個人情報保護の見解が異なるが、AIやビッグデータを代表とするデジタル経済は、今後、両国が協力を検討する際の重点になるはずだという認識で意見が一致した。

今回の特別分科会は数多くの中日の来場者を引き付けた。間もなく深圳に赴任する坂本さんは、「中国は今、デジタル経済の分野で日本の前を走っています。深圳で高度にデジタル化した中国社会を肌で感じたいです」と感慨深く語った。北京から来た周琳さんは、「低炭素社会の構築は21世紀における世界的課題で、中国と日本は技術の革新から協力を展開し、地域と世界の環境改善により多くの貢献を果たすことができるでしょう」と意見を述べた。(呉文欽=文)

 

人民中国インターネット版 201811

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