新型肺炎対策で手本示せ

2020-04-09 12:10:11

欧米同学会留日分会会長 曹衛洲=文

新年に突如として襲来した新型コロナウイルスによる肺炎は世界中にまん延した。猛威を振るうウイルスに直面して、人類は並々ならぬ勇気と知恵、称賛に値する犠牲と奉仕の心で困難に満ちた闘いを繰り広げた。人類史上でもまれな危機と試練を前に、国際社会が国家や人種、文化、信仰の枠を超えて運命共同体として結束することが、人類の存続と発展に関わっている。この点において、中日両国民は互いを見守り、助け合う行動で世界に手本を見せた。

早かった日本の支援

1月初め、新型肺炎が中国全土にはびこり、人々の健康と生命に対する大きな脅威となった。中でも湖北省とその省都の武漢市の感染状況は特に深刻だった。中国が感染拡大と闘い、防疫物資が不足している緊急時に日本社会は直ちに温かい手を差し伸べ、マスクやゴーグル、防護服などの感染対策用品を何回も送った。これはその時の中国にとって、まさに雪中に炭を送るようなありがたいものだった。また、日本の町中で掲げられた「頑張れ武漢」「頑張れ中国」のスローガン、感染拡大と闘う中国を応援するためにライトアップされた東京タワー、一般市民が自発的に行った募金活動なども、中国の人々の信念と意志を鼓舞した。

日本から中国へ送られた救援物資の段ボール箱には、「山川異域,風月同天」などの深い意味が込められた漢詩が書かれていた。中日の文化に共通して根差し、両国民に親しまれているこれらの美しい詩句は、新型肺炎と闘っている中国国民に対する日本国民の同情と応援を伝えていた。「風月同天」は日本国民の厚意を乗せた言葉として、あっという間に中国社会に広く伝わり、寒い冬の中で新型肺炎に苦闘する中国国民にぬくもりをもたらした。

中国では、「苦境に立たされた時こそ真心が試される」という言葉がある。日本国民の心温まる行動、日本政府と社会各界の心を込めた応援と支援は中国の人々の心に深く刻み込まれる。

組織の強み生かす

日本に留学した中国人帰国者の民間団体として、欧米同学会留日分会は今回の新型肺炎の発生当初から、(日本)中国留日同学総会や中国留学人材発展基金会、中華慈善総会と共に日本に留学中またはしたことがある国内外の学生を動員し、自身の強みと特長を発揮。さまざまな形で武漢を支援し、義援金と物資を寄贈し、感染拡大に対応し難関を乗り越えようと呼び掛けた。

この呼び掛けは日本社会に影響を与え、日本各界の友好人士が相次いで動き出した。例えば、中国留学生友の会の世話人代表を務めている野田みどりさんは寄贈活動を実施。元伊藤忠(中国)集団有限公司董事長の田中保成さんや中国日本商会の後藤錦隆さんらも惜しみない援助を送った。1カ月もしないうちに、留日同学会は日本の各界から義援金127万3000円と3666元、医療用マスク53万8300枚、ゴーグル1200個、防護服2000着を集めた。これらの義援金と物資は最短ルートで湖北省に送られ、感染拡大抑制の最前線で重要な役割を果たした。

中でも注目すべきは、鳩山由紀夫元首相の提唱で2月6日に東京で開かれた新型肺炎支援に関する緊急対策会議だ。会議に招請された筆者は鳩山氏に感謝の手紙を送り、こうつづった。「ウイルスは無情だが、人には情がある。感染拡大は一時的なものだが、友情は末永く続くものだ。私たちは鳩山氏を代表とする日本の友人が今回の感染拡大の予防・抑制の中でくださった貢献に心から感謝し、日本の各界と共に友好的な交流と協力を深めることに努め、今回の感染制圧戦に断固として打ち勝ちたい」

地理的に近く、文化が似通い、共に重要な経済大国である中日両国が国際社会に重大な危機が起きた際に連携して対応することは、両国の逆境を脱却するだけでなく、世界の困難を克服する上でも確固たる信念と強力な支えをもたらす、と筆者は考える。

今できることを全力で

中国には古くから「一滴の水の恩を湧き出る泉にして報いる」という言葉がある。中国は自国の感染対策に取り組みながら、常に日本の感染状況の変化を気に掛けている。2月初め、日本の感染状況に拡大傾向が見えると、中国政府や企業、個人はそれぞれ日本にウイルス検査キットや感染対策用品を寄贈した。日本の街頭に立って一般市民にマスクを無料提供した華人もいた。中国留日同学会総会も日本の病院に1200人分の検査キットを寄贈した。日本側は中国人留学生や中国国民に感謝するとともに、検査キットが新型コロナウイルスに対する臨床研究において非常に役立つと示した。

また、鳩山氏から送られた感謝状には次のようなことが書かれていた。「日本においても新型肺炎がまん延している昨今、あなたにおかれましては、日本に対して真っ先に支援の手を差し伸べてくださいました。お贈り頂きましたご支援の数々は、皆様の日本に対する温かいお気持ちとして、深い感動とともにお受け取りさせて頂きました。新型肺炎に対する人類共通の闘いにおいて、内外の友人の皆様のご関心と友情、そして友愛の精神による滅私奉公のお志は、必ずや、日本においても成果を発揮し、最終的なウイルスの抑制に大きな貢献をするものと確信しております」。そして最後に「但愿人長久,千里共嬋娟(願わくば永遠に、千里を隔てていても美しい月を共に眺めたい)」という中国の詩句を引用していた。

ウイルスは無情で、感染拡大の状況は今でも厳しいが、新型肺炎との闘いにおける中日両国の見守りや助け合いの精神に、人々は「人類愛」のぬくもりと力を感じ、両国民の友好もさらに深まった。これは両国の友好人士の切実な期待の結果であり、両国民の共通の幸福でもある。両国が今回の感染対策における協力をきっかけに、友好の基盤を打ち固め、ウインウインの分野を広げ、協力の仕組みを深め、新時代における中日関係の全面的な発展を推し進め、人類運命共同体の構築により良い手本を示すことを望む。

越せない冬はなく、訪れない春はない。このうららかな季節に中日両国で咲き誇る満開の桜は、両国民の助け合いの精神をたたえているかのようだ。来年の春には、満開の桜の木の下で両国民が幸せそうに笑いながら仲良く花見をしている姿を見たい。

人民中国インターネット版 2020年4月9日

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