PART2 文化財で感じる美と思想

2022-11-23 18:20:53

高原=文 

この10年間、中国の考古学は大きな成果を収めて、多様な文化を融合した精美な文化財が数多く出土し、人々の中華文明の歴史への認識を絶えず新たにしている。その中の多くの国宝には、見事な細工が施されているだけでなく、深い思想も込められている。 

     

韘形玉佩 

海昏侯・劉賀墓の主棺から出土した玉器は、数が多く、形もさまざまで、豊かな意味合いを持っており、漢代の手厚く葬る風習を物語るだけでなく、前漢時代の上級貴族の豪華で優雅な生活を再現している。写真は、同墓で出土した、腰に帯びる装身具で、龍と鳳凰、虎の透かし彫りがある韘形玉佩(韘は弓を射るときに指を守るためにはめる道具)。原材料は羊脂玉で、漢代にはすでに新疆の軟玉が大量に使われていたことが分かる。細工が非常に精巧で、表面には細かい雲紋の彫刻が施され、両側と上部に龍や鳳凰、虎などの透かし彫りがあり、力強く動きに富んだ彫刻の線が非常に美しい


  

チベット銀質鎏金面飾 

2017年にチベット自治区のガリ(阿里)地区ツァンダ(札達)県で発見されたサンダルンガ(桑達隆果)墓地から、数多くの貴重な遺物が出土した。放射性炭素年代測定法によると、その年代は紀元前366年から紀元668年までの1000年余りにわたっていた。遺物の中には、金・銀の仮面(面飾)が7枚(6点)あり、形や造りが、インド北西部やネパール北部の一部の墓から出土した金・銀仮面と同じか、似ているものだった。また、出土した木俑は初めて青蔵(青海・チベット)高原で発見されたもので、その形や造りは、新疆ウイグル自治区のトルファン一帯の墓地から出土した木俑と同じであり、チベット西部とヒマラヤ山脈の南麓、新疆、中原、チベットの他の地域との交流を研究するための重要な資料となった(新華社) 

  

人形金箔 

2020年度の中国考古学十大新発見の一つである、青海省トラン(都蘭)県の熱水墓群2018血渭1号墓からは、昨年末時点で、金銀器や銅器、織物など合わせて2000点余りの文化財が出土した。一部の文化財は西アジアのササン朝ペルシアや中央アジアのソグディアナなどの濃厚な民族色を持っており、唐(吐藩)の時代の熱水地域の葬儀・埋葬の風習、唐帝国と少数民族の関係史、シルクロードの交通史、物質文化交流史などを研究するための重要な資料となっている(新華社)

 

 

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