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太湖に映える桜と中日交流

 

単濤=文・写真

 「2015無錫国際桜鑑賞ウイーク」に大勢の人でにぎわう黿頭渚公園

1980年代、作曲家の中山大三郎氏は無錫を訪れ、美しい太湖の景色と濃厚な江南の民情に感じて『無錫旅情』を作詞・作曲した。この曲が大ヒットしたため、多くの日本人が無錫の名を知るようになったが、まさにこの時期に無錫は、日本との間で桜を通じた交流を開始したのだった。

 

植樹から桜祭りへ

1988年からの3年間、坂本敬四郎氏、長谷川清己氏らは「桜友誼林建設委員会」を組織して毎年無錫を訪れ、無錫市民と共同で3000本の桜を植樹した。その後、長谷川氏らは「日中共同桜友誼林保存協会」を立ち上げ、毎年訪中団を結成して無錫での植樹活動を続けた。30年にわたる活動の参加者は延べ1万人を超えた。中日双方の努力で、当初の3000本の桜の林は現在では3万本余りの桜の谷を形成するまでになっている。太湖に面する黿頭渚(げんとうしよ)公園の植樹面積は約65万平方メートルと、中国最大規模の桜の名所となっている。

植樹活動を行う小原雅博総領事、王進健副市長、新発田豊会長、陳明輝無錫市人民政府外事弁公室主任(左から)
 今年3月、桜が花の盛りとなった黿頭渚は国内外から多くの観光客を迎え入れた。そうした中、3月28日には無錫市人民対外友好協会と無錫市文化観光発展グループが主催する「2015無錫国際桜鑑賞ウイーク」が開幕した。日本風に言えば桜祭りだ。今年が第2回となる催しは4月15日まで2週間余りにわたって行われた。王進健無錫市副市長はこの催しについて、「かつて桜友誼林建設委員会と無錫市対外友好協会が呼びかけて造営が始まり、今ではこのように盛大なものになりましたが、中日双方の民間友好組織や友好人士の熱い思いと努力には本当に頭が下がります。活動は、すでに単なる植樹から中日の文化や経済交流も含む『無錫国際桜鑑賞ウイーク』へと発展していますが、今後は、無錫と日本の民間交流のたすきが若者たちに受け継がれ、双方の民間協力が絶えず新しい分野に広がっていくことを願っています」と話している。

2015無錫国際桜鑑賞ウイークの開幕式であいさつに立った日本の小原雅博上海総領事は、「日本と無錫は1980年代から桜を媒介にした交流を続けてきました。日中共同建設桜友誼林保存協会の努力の下、植樹と手入れを絶え間なく続け、無錫の黿頭渚公園は今や中国でも一、二を争う桜の名所となっており、また日中友好交流の象徴にもなっています。私は無錫市の桜がうららかな春の息吹を日中双方の人々の心に届けてくれることを希望します」と語った。

開幕式では、王錫南無錫市人民対外友好協会会長から日中共同建設桜友誼林保存協会のメンバーに感謝状が授与された

 

友好のたすきは若者に

桜の花の下で記念撮影に興じる中国人観光客

今回の桜鑑賞ウイーク期間中、保存協会は例年通り訪中団を結成して無錫を訪れた。訪中団のメンバーは3月28日には、共同で植えた桜友誼林の木々に土を盛り水をやり、「日中友好」や「世界平和」と書かれた手づくりのプレートを掛けた。

保存協会の新発田豊会長は今後について次のように話している。「桜の植樹活動を通じて、日中両国ひいては世界の永遠の平和の願いを孫子の代に伝えることは、故長谷川清己前会長の願いでした。この活動を30年近く続けて、参加者は延べ1万人以上になりました。訪中団は最も多い時には1200人余り、少ない時でも100人から200人を数えます。これは民間友好交流活動が持つ力です。現在私たちは、友好交流活動に参加する若者が増えるよう努力しています」

上海交通大学で学ぶ日本人留学生倉岡駿さんも今回の活動の参加者の1人。無錫に大規模な桜の林があることに驚かされると同時に、これだけ多くの中国人と共に日本の伝統である桜の花見を楽しめることに感激したという。「人種や国籍を越えて見る人を魅了する桜は友好の象徴です。そして花見とはコミュニケーションの場でもあります。毎年、無錫の桜の開花とともに、無錫から中国全土へ、そして日本へと、中日友好の気持ちが広がります。来年はより多くの日本の若者を無錫に連れてきて、中国の若者と花見交流をしたいと思います」

上海復旦大学から参加した中村栄太さんも倉岡さんと同様の感想を持ったという。彼は、「満開の桜のもと終始観客の笑顔が絶えず、祭りが大成功を収める様子を間近で体験し、感動するとともに自分もいつか中日関係の友好に貢献したいと本気で思いました。近年、中日間のニュースと言えば暗いものばかりでしたが、今回自分は両国の絆の強さを再確認できたと思います」

 

人民中国インターネット版 2015年4月7日

 

 

 

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