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四川省・峨眉山市 昔日の繁栄を再現する「金頂」

 

 現在の金頂には、華蔵寺と臥雲庵という二つの寺がある。華蔵寺の大雄宝殿は西向きに建っている。大殿の瓦、梁、柱、門、窓はすべて銅製であり、その中に三世諸仏が祀られ、建築全体が荘厳で雄大である。華蔵寺の後ろにある金殿は、ひときわ高い所にある存在であり、大きくはないが、その頂、梁、柱、門、窓、壁はすべて金メッキした銅製のもので、光り輝いて壮麗である。臥雲庵は華蔵寺の北側の台地に位置する、唐代に創建された尼寺である。かつて屋根が銀色の錫瓦で覆われており、峨眉山の山頂も冬に積もった雪で一面まっ白になり、さらに峨眉山は仏門の「銀色世界」であるため銀頂とも呼ばれている。ちなみに中国四大仏教名山のその他の3つの山は、五台山が「金色世界」、普陀山が「瑠璃世界」、九華山が「幽冥世界」と呼ばれる。現在では殿全体は銀メッキが施されており、金頂から見下ろすと、銀色の光がちらちらときらめき、さっぱりと落ち着いている。

 

峨眉山仏教の貴重な三大宝物:御印。万年寺のレンガ殿建造時に明の万暦皇帝より直々に賜ったもの貝葉経。明の嘉靖年間にシャム(現・タイ)の国王から贈られたもの仏牙。明の嘉靖年間にセイロン(現・スリランカ)の友人から贈られたもの(写真・3枚とも呉健)

 金頂の広場中央に聳え立つ四面十方普賢菩薩金像は、現在世界最大の金銅仏である。六牙白象に載せられた蓮台の上に座る普賢菩薩は、顔が東、南、西、北、東南、東北、西南、西北、上、下の十方向に向かっており、普賢菩薩の十大誓願を意味している。それぞれ、礼敬諸仏(諸仏を敬い礼拝する) 、称賛如来(如来を称賛する) 、広修供養(諸仏にあらゆる供養を尽くす)、懺悔業障(過去の罪科を悔い改め、仏に懺悔する)、随喜功徳(功徳を喜ぶ)、請転法輪(諸仏の説法を請い願う) 、請仏住世(諸仏がこの世に住して導いてくれることを願う)、常随仏学(常に諸仏に学ぶ) 、恒順衆生(恒に諸衆を敬う) 、普皆回向(あらゆる功徳をあまねく振り分ける)というものである。金像の中は、阿弥陀仏を祀る大殿である。海抜3000メートルを超える山頂で、これほど雄大な金属の塑像を鋳造したこと自体、まさに奇跡である。近年、峨眉山を訪れる観光客と、仏を拝み、お礼参りにやって来る信徒は、毎年300万人以上に及ぶ。

 

 ユネスコ世界遺産委員会の専門家は峨眉山の寺院群を「峨眉山のひとつひとつの寺すべてが、世界文化遺産に登録されてしかるべきものである」と評価している。  (劉世昭=文・写真)

 

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