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シンモシホウザイフィが合言葉

 

 田代綾香

「日本が大好き!」

開口一番、彼女はそう言って、はにかんだ。

私は、2015年の12月、日中友好協会様の派遣団の一員として、中国に8日間旅行した。杭州の大学では、日本語を学んでいる中国人の女の子ととても仲良くなった。

「日本のドラマも欠かさずチェックしてるよ」

活き活きとした表情で日本文化を語る彼女の姿を見て、こんなにも日本文化に興味をもっている中国人の大学生がいるのだなと思うと、すごく嬉しくなった。旅の中で一番、ほっこりした出来事だ。

大学に入るまでの私は、どちらかというと中国に対して良い印象がなかった。小学生でニュースを見るようになったときに、大規模な反日デモが中国各地で繰り広げられていることを連日見聞きし、「日本と中国は一生分かりあえないな」と落胆した。その後も、日本国内では、PM2.5やマナー問題など中国に対するマイナスイメージのニュースが多く、正直、中国に対して一切関心がなかった。

しかし、大学生になり、海外旅行や国際交流の場で、中国人の大学生と話す機会が多くなった。私が接した中国人大学生は、冷静に日中関係を見ていて、日本と中国の仲が良くなるように願っていた。今まで、中国人は日本人が嫌いだと勝手に偏見を持っていた私は、「中国のことを、イメージで語っていたな」と気づいた。

そして、大学で教育学を専攻する中で、授業でも中国の教育を学んだ。同じ東アジアの国だが、中国の教育制度は日本と異なる点が多いため、「なぜそういう制度なのだろうか。それに対して学生はどう思っているのだろうか」と疑問を抱くようになった。教育は、その国の社会や政治、経済と深く密接している。「机上だけでなく、深く中国の教育を知るために、実際に中国に行って、中国の社会や経済をこの目で見たい」中国に興味をもった瞬間だった。

そんな時、日中友好協会の派遣団の募集を知って、中国に8日間短期留学した。

冒頭のように、現地の中国人大学生と語り合うだけでなく、日本人の学生同士で観光もした。12月の北京は、東京と比べることができないくらいとても寒かったが、朝早く起きて天安門に散歩しに行った。杭州では、雪・西湖・紅葉の三重奏を楽しんだり、上海では夜景を満喫した。もちろん中華料理も、「もう1年間は食べなくて大丈夫」というくらいたらふく食べた。(帰国してすぐ、中華料理が恋しくなり中華街に行ったが)高校生になるまで、中国のことを全く知らなかったのに、こんなに中国を楽しんでいる―。それが自分にとって一番の発見だった。

この旅を通して、私は2つのことを学んだ。

1つは、“自分で見たこと・聞いたことを信じること”。中国に実際に行っただけで、中国に対するイメージが、がらっと変わったからだ。メディアや他人などを通しての情報は、他人が感じたことであって、自分が感じたことではない。他人に惑わされずに、自分の五感で確かめよう、そう決めた。

2つめに、“中国と日本はきっと、将来分かりあえること”。私は道中で、そう確信したからだ。確かに、今まで日本と中国の間には深い溝があった。そして、現在も二国間関係は決して良いとは言えない。しかし、未来を変えることはできる。中国の大学生は、私たち日本人を好意的に迎えてくれた。杭州で中国人の友人と、「什候再会、また会おうね」と抱き合った。もっともっと、日本人と中国人が交流して、お互いの価値観や考えを理解すれば、二国には素敵な未来が待っているはずだ。

かの老将、趙充国はこう言った。「百聞は一見に如かず」。中国に行けば、きっと新しい経験が待っている。

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