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『釣魚島列島帰属考:事実与法理』

劉江永 著

本書の著者は清華大学国際関係研究院、清華大学社会科学院国際関係学科の教授で、本書は「国家哲学社会科学成果文庫」の優秀な成果として人民出版社より出版された。全体で8章、62万5000字あり、約220枚の図や写真を含む。30年余りの研究の積み重ねを基礎にして、5年間かけて完成されたものだ。本書は中国の明朝から現在までの640年余りにわたる国内外の関係資料、証拠となる史料に対して詳細な考証・分析を行い、事実と法理の両面から、釣魚島列島が中国に帰属するという一連の証拠を整理し明らかにした。それと同時に、著者は矛盾を回避せず、日本政府の「島の購入」という行為と日本側の間違った観点に対して論理的に、根拠に基づく反論を行い、是非を明らかにしている。また、中国の学界における異なる観点についても、自身の考証の結果を示している。

本書には、これまで中国と日本の関連研究では触れられていない、あまり知られていない新しい史料や証拠が含まれている。本書は初めて日本の海軍省の一部の地図や文献を掲載し、1874年に日本が初めて台湾に侵入してから1894年に甲午戦争を引き起こすまでの約20年間、日本政府はすでに釣魚島列島が中国台湾の東北の島しょだと認めていたことを証明した。また、過去に島に渡った日本の密猟者の子孫の歴史的証言を示して、釣魚島は明治政府が甲午戦争を経て台湾と合わせて奪ったもので、戦後は中国に返還するべきであることを証明した。さらに、日本のいわゆる「1896年の勅令第13号に基づいて釣魚島は沖縄県に編入された」とか、「古賀辰四郎が1884年に釣魚島を発見した」とかいう虚言を徹底的に否定した。日本が1894年の甲午戦争勝利の機に乗じて釣魚島をかすめとった内幕についても明らかにした。

本書は、釣魚島の領土主権帰属認識をめぐる中日両国の争いについて、歴史事実の考証と国際法の角度から、釣魚島関連の証拠に対する考証を深めることによって、中日両国の政策決定者や両国政府の関係部門、この問題に関心を持つ全ての読者に参考となる情報を提供するものである。その主な目的は、中日両国の人々と国際社会が釣魚島問題の実情を理解し、この問題を妥当に処理ないしは最終的に解決し、中日関係の改善と健全な発展を真に実現するよう促すことにある。

 

(人民出版社 2016年10月 129元)

 

人民中国インターネット版 2017年1月

 

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