現在位置: 経済
「新ユーラシアランドブリッジ」により世界経済の中心となる重慶

 中国とヨーロッパを鉄道によって結ぶ物流ネットワーク「新ユーラシアランドブリッジ」の貫通により、重慶は内陸都市から輸送の前衛拠点へと華麗な変身を遂げ、本来あるべき地位と栄誉を獲得した。アジアとヨーロッパを結ぶ大動脈は、世界の物流の布陣を変革し、重慶を中心として中国の南部および東南アジアをネットワークに結ぶ大物流圏のひな形を出現させ、中国の発展の障害となっていた「マラッカ・ジレンマ」を解決している。

 世界地図を広げてみれば、重慶の位置はその中心である。

 だが、長きにわたり、険しい山々に阻まれ、重慶のその位置は埋もれているかのようだった。

 かつては重慶の貨物を国外に輸出しようとすれば、南北へ迂回せざるを得なかった。重慶から出発して西北方向へ直線で進めば、1万キロメートルもないうちにヨーロッパへ到着する。だが、過去、重慶の貨物はまず東部の上海に送られ、船に積まれたのちマラッカ海峡を抜け、西北方向に向かい、ヨーロッパを目指す。こうした迂回により、2万キロメートルもの距離になってしまう。世界の中心の重慶は、グローバル経済においてはただの片隅のようであり、浪費される距離と時間は重慶の経済発展において耐え難いものだった。

 けれど鉄道の出現により、重慶は、名実ともに中心地となり、中国南部から東南アジアにかけての物流は一変した。この鉄道ネットワークが「新ユーラシアランドブリッジ」と呼ばれる。

空前の陸上輸送ネットワーク

 陸上貨物輸送では、オランダのロッテルダムまでわずか12日で到着し、海上輸送の24日を大幅に縮小している。現在では、毎日、各種の貨物を満載した貨車が重慶の鉄道西駅に集合し、すべてが新疆にむかう。これらの貨物は新疆の阿拉山口国境を出たのち、ロシア、カザフスタン、ウズベキスタンなどの国々に向かう。重慶から出発し、達州、安康、西安、蘭州、ウルムチを経て、西に向かい北疆鉄道を経て、中国の国境である阿拉山口を出て、カザフスタンに入り、方向を変えてロシア、ベラルーシ、ポーランド、ドイツのデュッセルドルフまでの11179キロメートルの「渝新欧鉄道」(渝は重慶の略称)は、世界に稀なものである。

デュッセルドルフという交通の要衝を利用して、重慶の貨物はヨーロッパの大きな港に直接到着する。このヨーロッパに向かう貨物は、「定まった地点」「定まった路線」「定まったダイヤ」「定まった時間」「定まった価格」の「5定」の貨車に積まれ、途中で停車して貨車を交換し、貨物を上げ下ろしする手間がかからず、貨物の輸送負担を大幅に削減している。

 黄奇帆市長は、現在、中国のヨーロッパ向けの加工貿易額のかなりの部分は、沿海地区を通り海上輸送によって運ばれ、36日を費やしているという。重慶からの「渝新欧鉄道」を利用すれば、オランダのロッテルダムまで約12日である。このネットワークでは、空輸よりコストは安く、海上輸送よりも時間が節約でき、安全性は高く、通関業務も速い、と語る。

 「渝新欧鉄道」は、「新ユーラシアランドブリッジ」ネットワークの重要な組成部分であり、ネットワークは、重慶を中枢部として西に向かいヨーロッパと結ばれ、東南方向には中国東南の沿海部を結んでいる。このネットワークは、パソコンなどを代表とするIT産業の国際貿易需要を鉄道によって満たすだけでなく、長江上流の物流センターである重慶のステータスと印象を著しく高め、さらにサービス機能を改善し、ネットワークのもたらす作用を発揮させることは、重慶が西部地区の輸出入企業に対しさらに便利で効率のよい通関業務を提供するにあたり、重要な条件となっているという。

 市の経済および情報化工作委員会の責任者によれば、パソコンや、乗用車およびバイク関連製品、化学加工製品も同様に同じルートで輸出され、「メイド・イン・重慶」は、ヨーロッパの市場において競争力を大幅に増している。さらに重要なことは、この国際的な大ルートは、西部に広がり、重慶は、各地から集まる貨物の中継地点となり、まさに「公共プラットホーム」となることである。

 

1   2   >>  

人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850