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「新ユーラシアランドブリッジ」により世界経済の中心となる重慶

 

物流の新しい布陣

 重慶は世界の物流の中心となり、中国の西南部および東南アジアを結ぶ。新しい国際的な物流ネットワークの出現は、重慶の企業人の意欲を高める。英業達(重慶)公司総経理、簡錦焔氏は、新しい国際的な陸上輸送ネットワークの出現は、彼らの製品の輸送と部品の輸入にとって有利である、と語る。「少なくとも、我々は今後モデルマシンをヨーロッパから運ぶことができ、選択の範囲が増え、輸入にかかる時間が縮小される」と隆鑫通機動力有限公司営業部、張偉・部長はいう。だが、蔡進・中国の物流および購買聨合会専任副会長によれば、重慶からの「新ユーラシアランドブリッジ」ネットワークの意義は、決して重慶に限るものではない。「新ユーラシアランドブリッジ」の開通後、上海、江蘇省からの貨物は、一日か二日で海運により重慶に運ばれ、その後重慶から12日間でヨーロッパに到着し、かつての海上輸送の36日に比べ、時間が大幅に減少している。 

 蔡進氏によれば、山東省日照市、江蘇省連雲港からはオランダのロッテルダム港まで走る鉄道があり、それは「ユーラシアランドブリッジ」として先に広く知られ、その全長は10800キロメートルであり、伝統的な海運に比べ、少なくても7日が短縮できる。「だが、かつての“ユーラシアランドブリッジ”の物流圏のネットワークは、おもに中国北部であり、中国南部の長江デルタおよび広西チワン族自治区の西部へのネットワーク網には限界があった。重慶の物流圏は、主に中国の大西南部と 東南アジアに広がり、“新ユーラシアランドブリッジ”により、ベトナム、ラオスの貨物が重慶に集積され、ここを中継点としてヨーロッパに運ばれれば、それはマラッカ海峡を越え、インド洋を行くよりもずっと速く便利である」と語る。

 「新ユーラシアランドブリッジ」が姿を現して以来、少なくない物流企業が意欲を見せている。また中鉄コンテナ公司、ドイツ鉄道など、国際的な大企業が請負企業として名乗りをあげようとしている。中鉄コンテナ公司の責任者は、将来的には「新ユーラシアランドブリッジ」による物流は、“千億クラスのビジネスチャンス”であるという。

 現在の「新欧亜大陸橋」の重慶から蘭州にかけての部分は、「渝襄鉄道」を経て迂回しており、2012年には、蘭州と重慶を結ぶ鉄道が貫通し、ルートはさらに直線的になる。鉄道部の試算によれば、「蘭渝鉄道」(蘭州と重慶を結ぶ鉄道)の建設により、蘭州から重慶までの輸送コストは、3分の1となり、時間は3分の2の約10時間が節約される。「新ユーラシアランドブリッジ」は、さらに便利でスピーディなものになる。

突破口となるプロジェクト

 「新ユーラシアランドブリッジ」ネットワークにより、重慶は中国の対外開放の最先端拠点となる。

 中国のような大国は、“すべてのタマゴを一つの籠にいれるわけにはいかない”。「新ユーラシアランドブリッジ」の発展は、「マラッカ・ジレンマ」の解決にあたり、影響は非常に大きい。

 「新ユーラシアランドブリッジ」の建設の推進により、世界最大のコンテナ輸送会社、マースクライン、世界最大の工業・物流施設供給およびサービス会社のアメリカの、プロロジスおよび、香港招商集団など国際的な物流の巨頭が重慶に拠点を持ち、ユーレッドパッカード、宏碁、ファルコンなどのIT企業が次々に西進している。  宏碁グローバルCEOのランチ氏は、「地理的な位置からすると、重慶はユーラシア大陸の中心である。だが、外資は中国にやってくるとまず沿岸部に進出し、のちに内陸をめざす。交通インフラの改善により、重慶の地理的特長はついにあるべき力を発揮するといえるだろう」と誇らしげに語る。

 黄奇帆市長は、「新ユーラシアランドブリッジ」の力を借り、重慶は中国のヨーロッパ向け輸出の重要な中継点となる、という。伝統的な意味における内陸都市は、最先端拠点に華麗に変身している。

 また、重慶のステータスの上昇、および「新ユーラシアランドブリッジ」の貫通により、中国の国家戦略は大きく支えられている。

 国家商務部北東アジア区域経済合作および発展研究中心副主任の李光輝博士は、中国のヨーロッパへの輸出入の貨物の大部分が、マラッカ海峡およびスエズ運河を通る海上路線を選択する、という。これは中国西部地区にとって、ムダに数万にのぼる旅程を増やしているにすぎない。地政学的な角度からすると、中国は非常に受身ということになり、万が一その地区に何かが起きれば、中国は喉を詰まらせることになる──これがよくいわれるところの「マラッカ・ジレンマ」である。

 李博士は、「新ユーラシアランドブリッジ」は、次第に発展しており、まだマラッカ海峡のステータスに代わるものではないが、中国のグローバル戦略に対し、一つの選択を増やすものであることは間違いない、と見る。また李博士は「中国のような大国は、一つの籠にすべてのタマゴを入れるわけにいかない。新ユーラシアランドブリッジの発展の加速は、我々にとって必然の選択であり、現在のマラッカ海峡問題の解決に深い意義を持つ」と語っている。

 

人民中国インターネット版 2011年1月26日

 

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