南京大虐殺から88年 「歴史の直視が平和への第一歩」と日本人若手研究者・青山英明氏
12月13日は中国の「国家追悼日」です。1937年12月13日、南京が旧日本軍により陥落した後、約 6 週間にわたり大規模な虐殺が行われ、30万余人の罪なき人々が犠牲となりました。
2025年12月13日、戦後80周年を迎える節目の年にあたる今年は、南京大虐殺から88周年となります。悲惨な歴史といかに向き合うべきか。南京大学歴史学院で博士課程に学び、日本の一般社団法人「一帯一路日本研究センター」ジュニアフェローを務める日本人若手研究者・青山英明氏にインタビューしました。
■南京大虐殺の根底にあるのは「軍国主義制度による集団洗脳」
青山氏はまず、「1937 年 12 月から翌 1 月にかけて南京市内と周辺地域で発生した虐殺は、旧日本軍による組織的かつ計画的な非人道行為の典型例である」としたうえで、「国際安全区が設けられていたにもかかわらず、無差別殺人、強姦、略奪が約6週間にわたり繰り返された。これは単なる、いわゆる『戦場の混乱』ではなく、『敵対者としての中国人を集団的におとしめ、消滅させようとした意図』に基づくものであったと思われる」と指摘しました。
その根底にあるのは「軍国主義制度による集団洗脳」であると青山氏は強調します。
「軍国主義は、『大東亜共栄圏』という名目で侵略を正当化し、一般兵士や国民に『他民族の尊厳を否定する倫理』を植え付けた。道徳感覚が麻痺し、非人道的行為が『愛国的行為』として容認される土壤が形成された」と切り込みました。
■歴史を直視することは、過去の過ちを繰り返さないための第一歩
また青山氏は、旧日本軍の傀儡政権である偽満州国に設立された 731 部隊や、中国各地で展開された「三光作戦」(殺し尽くし・焼き尽くし・奪い尽くす)の歴史にも言及し、「歴史を直視することは、過去の過ちを繰り返さないための第一歩」であるとし、「特に、こうした行為が一部の過激派の暴走ではなく、軍国主義体制の下で組織的に行われた事実を直視することで、『制度的な悪』の危険性への警戒心を高めることができる」と訴えました。
一方で、戦後の日本では、「南京大虐殺は虚構である」とする否定論や、被害者人数についての論争が目立ちました。そうした動きの要因として、青山氏は戦犯・松井石根の私設秘書・田中正明(1911~2006)の名を挙げ、「氏が1985年に刊行した『松井石根大将の陣中日誌』において、史実改ざんが900カ所を超えていることが判明している。史実を否定する動きは、歴史修正主義者らによる『虚妄』であることが1980年代ですでに論破されている」と指摘しました。また、後者については、論点が旧日本軍による大虐殺の悲惨さと軍国主義者の横暴さから、被害者人数にすり替えられていることを警戒すべきだ、と注意喚起しました。
■正しい歴史教育は、信頼関係の構築のみならず自己防衛にもつながる
青山氏は、東アジアの信頼関係構築の鍵は「戦争の記憶をどのように認識し、対話するか」にあると語ります。
「各国の国民がそれぞれの立場から戦争を記憶する以上、共通認識の構築は容易ではない。しかし、学術的対話、教育の改善、市民交流を通じ、徐々に進めることは可能であると信じたい」としたうえで、若い世代に正しい歴史認識を伝える教育の重要性を強調しました。
そして、「南京大虐殺に当時の日本の一般市民もくみしたことを広く認知させることで、軍国主義思想の危うさを知らしめることができる」と話すと同時に、そうした取り組みには「中国の被害者を弔うのと同時に、現代日本で生きる一般市民が、戦場に駆り出されないための自己防衛策でもある」との考え方を示しました。
また、「学界としては、絶えず発声を続けて、歴史修正主義的な禍根から戦火が芽生えないようにすることが大事だと思う」と、青山氏は思いを語りました。
そして、「『日中不再戦』の理念は、単なる願望ではなく、具体的な行動によって実現されるべき目標である。過去の戦争の惨劇への反省を胸に刻みつつ、相互の理解と信頼を深め、協力関係を構築することで、東アジアの平和と繁栄に貢献したい。これが、戦後 80 周年の節目に生きる現役世代が引き継ぐべき責務であり、将来ある世代に約束すべき事象でもある」と思いを語りました。(取材&記事:王小燕、写真:CFP、校正:梅田謙)
中国国際放送局日本語部より