胡総書記、党大会で活動報告

大きな注目を集める中国共産党第17回全国代表大会(以下、十七大)は10月15日、人民大会堂で盛大に開幕した。胡錦涛総書記(国家主席)が中国共産党第16期中央委員会を代表して、「中国の特色のある社会主義の偉大な旗じるしを高く掲げ、小康社会の全面的建設の新たな勝利をかちとるために奮闘しよう」というテーマの活動報告を行った。

(1)5年間を回顧

胡錦涛総書記は過去5年間の中国の各事業の新たな成果について次のように説明した。

・経済力の大幅な高まり

経済は安定した急速な発展を保ち、国内総生産(GDP)成長率は5年平均で10%以上だった。経済効率も明らかに高まり、財政収入も連年増加した。物価は基本的に安定していた。エネルギー、交通、通信などのインフラ建設と重点プロジェクトの建設は大きな成果を見せた。有人宇宙飛行の実現に成功した。エネルギーと資源の節約、自然環境保護でも新たな進展があった。「第10次5カ年計画」(2001~2005年)を成し遂げることができ、「第11次5カ年計画」(2006~2010年)は順調に進められている。

・改革開放に重大な進展

農村の総合改革が徐々に深まり、農業税、牧畜業税、特産税がすべて廃止され、農業支援・優遇政策が引き続き強化された。金融、財政・税制、投資、物価、科学技術などの分野で改革が大きく進展した。民間経済が更に発展した。

・人民の生活の改善

都市・農村部の最低生活保障制度が基本的に確立され、貧困人口は基本的に生活保障を受けるようになった。

・民主的法制の確率に進展

政治体制改革は安定的に進められた。人民代表大会制度、中国共産党が指導した多党協力、政治協商制度、民族地域自治制度などは引き続き改善され、基層における民主的活力が強まった。中国の特色ある社会主義における法体系が基本的に形成された。

・社会構築の全面的展開

各級、各種の教育が急速に発展し、農村部での義務教育無料化が全面的に実現した。就業規模も日増しに拡大している。

・国防および軍隊建設に歴史的成果

中国の特色ある軍事変革推進が加速した。軍隊の20万人整理は順調に実現された。

・香港、澳門(マカオ)、台湾関連活動の更なる強化

香港・澳門両特別行政区は安定した繁栄を保ち、大陸部との経済関係はより緊密になった。台湾海峡両岸の政党間交流がスタートし、人員往来や経済・文化交流が新たなレベルに引き上げられた。

胡総書記は、成果を見ると同時に、指導部の活動と国民の期待との間にはまだ格差があり、前進の中には困難や問題が少なくないことをはっきりと認識しなければならないと指摘。これらの問題を高度に重視し、引き続きしっかりと解決していかなければならないと述べた。

(2)ゆとり社会実現を

胡錦涛総書記は「小康社会(いくらかゆとりのある生活)」を全面的に実現するために必要な新しい措置について次のように述べた。

――われわれは、国内外情勢の新しい変化に適応し、各民族国民のより豊かな暮らしをしたいという新しい期待に応えなければならない。そのためには、経済社会発展の趨勢と規則を見据え、中国の特色ある社会主義の上に、経済・政治・文化・社会を建設するという政策理念を掲げた基本綱領を堅持し、中国共産党第16回全国代表大会が掲げた小康社会全面的建設という目標を土台として、わが国の発展に対して新しくより高い要求をして行かなければならない。

具体的な政策目標は次のとおり。

(1)協調性をさらに高め、経済の健やかで高速な発展に努力する。発展形式を転換し、構造改革・効率と利益の向上・環境保護の土台の上、2020年の一人当たりGDPを2000年の4倍にまで拡大する。

(2)社会主義民主政治を拡大し、人民の権益と社会の公平性をより確かに保障する。

(3)文化建設事業に力を入れ、全国民の素養を高める。

(4)社会事業(ソーシャルワーク)の分野を発展させ、国民の生活を全面的に改善する。

(5)環境に優しい文明を建設。エネルギー資源を節約し生態環境を保護する産業構造・成長方式・消費モデルを形成する。

(3)生活の改善が重点

胡錦涛総書記は開幕式の報告の中で、社会建設は人々の幸福と安息に密接に関わっている。経済発展の基礎の上で、社会建設を行わなければならないと述べた。国民の暮らしの保障と改善に力を入れ、社会体制の改革を推進し、公共サービスを拡大し、社会管理制度を改善し、社会の公平性を促し、調和社会の建設を進めていく。

胡錦涛総書記は、国民生活改善に重点を置いた社会建設を加速・推進するための事業として、以下の6項目を提示した。

(1)教育事業を優先的に発展させ、豊かな人材資源を持つ国家を建設する。

(2)雇用拡大の発展戦略を実施し、起業による就業機会の拡大を図る。

(3)収入分配制度の改革を進め、都市・農村住民の収入を増加させる。

(4)都市・農村住民に対する社会保障体系をできるだけ早く打ち立て、人々の最低限の生活を保障する。

(5)最低限の医療衛生サービス制度を定め、全国民の健康レベルを引き上げる。

(6)社会の管理制度を改善し、社会の安定と団結を維持する。

(4)国防の現代化を

胡錦涛総書記は軍隊・国防事業の現代化に対する新たな展望について述べた。要点は次の通り。

国家の安全保障戦略と発展戦略の両局面を把握し、経済建設と国防建設を総合的に計画しなければならない。「小康社会(いくらかゆとりのある社会)」建設の進展過程で、富国と強兵を同時に実現してゆく。

党と人民によって与えられた新しい時代における軍隊の歴史的使命を全面的に履行する。「科学的発展観」を軍隊・国防事業建設のための重要な指導方針とし、新時代の軍事戦略方針を貫き、中国の特色を備えた軍事改革を進め、安全に対するさまざまな脅威に対応し、多様な軍事任務を果たすための能力を高めて、国家の主権・安全・領土保全を守り、世界の平和維持に貢献する力となる。

世界の軍事発展の新たな趨勢と中国の発展の必要性に応じて、軍事理論・軍事技術・軍事組織・軍事管理制度の刷新をすすめる。軍隊の編制と政策制度を改革・調整し、中国の特色を備え且つ現代的軍隊の構築パターンに合う組織モデル・制度配置・運用方式を徐々に形成する。

(5)祖国の平和統一を

香港、澳門(マカオ)の復帰以来、「一国二制度」は実践を重ねた。事実が立証しているように、「一国二制度」の方針は正しいものであり、強大な生命力を持っている。この方針に基づき、中国の平和的統一を実現することは、中華民族の根本的な利益に符合する。

台湾問題の解決と祖国の完全統一は、全中国人民の共通の願いだ。「平和統一、一国二制度」の方針に従い、現段階での両岸(大陸部と台湾)の関係を発展させ、祖国の平和統一を8項目の主張で推進し、「一つの中国」の原則を堅持し、平和統一への最大限の努力をする。台湾の人民に希望を寄せる方針を決して変えることなく、「台湾独立」分裂活動に対して反対し、決して妥協しない。

「台湾独立」を訴える分裂勢力の活動は、海峡両岸関係の平和的な発展に重大な危害を加えている。両岸の同胞は、共同で「台湾独立」分裂活動に反対し、抑制に努めなければならない。中国の主権と領土保全は分割を許さない。中国の主権と領土保全に及ぶいかなる問題も、台湾同胞も含め、全中国人民が共同で決定すべきである。最大の誠意と努力を尽くして、両岸の平和的統一を実現し、いかなる人物、いかなる名目、いかなる方法であろうとも、台湾を中国から分裂させようと企図することは絶対に許さない。

(6)平和的発展路線

共に発展のチャンスを分かち合い、共に困難にチャレンジすることで、人類の平和と発展という崇高な事業に取り組むことが、各国の人々の根本的な利益となり、共通の願いでもある。われわれは、各国の人々と共に、末永い平和と、共に繁栄する調和的世界の建設に努力していく。

さらに、中国は終始、平和的発展の道を進んでいく。これは、時代発展の潮流と自身の根本的利益により、中国政府と人民が下した戦略的選択である。中国は国際紛争や今注目を集める問題の平和的解決に尽力し、国際間や地域間の安全保障協力を進め、一切の形式によるテロリズムに反対する。中国は、防御的な国防政策を遂行し、軍事競争はせず、いかなる国家に対しても、軍事威嚇を行わない。

中国は平和共存五原則を踏まえた上で、すべての国との友好関係をすすめていく。先進国との戦略対話、周辺諸国との友好・協力関係、数多い発展途上国との協力の強化を継続していく。積極的に多方面の実務に参与し、相応の国際的な義務を請負い、建設的な役割を発揮して、国際秩序が公正で合理的な方向へ発展するよう努める。

「人民網日本語版」2007年10月16日

 
 
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