社会科学院の専門家、中国の資本市場を語る

――中国社会科学院金融研究所 李揚所長インタビュー

中国証券報によると、2002年に中国社会科学院金融研究中心の李揚主任(当時)は「銀行改革の鍵は資本市場にある」と予言した。5年後の今日、中国銀行、中国工商銀行、中国建設銀行など国有銀行がA株市場に相次いで上場し、資本市場の歴史を書き換えている。

中国の資本市場における過去5年間の変化について、現在は社会科学院金融研究所長を務める李揚氏にインタビューした。

記者:過去5年間の資本市場の発展を振り返ると、どんな変化があったか。

李所長:主な変化として、幾つかの点が挙げられる。

1.株式市場そのものの制度構築に根本的な変化があった。それは「股権分置改革」(非流通株式改革)と新規株式公開(IPO)という二つの方面に表れている。股権分置改革では、中国株式市場の先天的な欠陥がついに円満に解決した。また、IPO方面でも目覚しい発展があった。過去には新規発行市場で大規模なIPOを実施する能力はなかった。ここから導かれる推論は、資本市場が金融改革に貢献するはずがないという見方が完全に破られたことだ。世界最大規模のIPOが実施され、現在中国の資本市場は主要な業種、企業をカバーし、マクロ経済のファンダメンタルズを反映し、国民経済の基本動向を示す明確な指標となっている。

2.投資家の構成にも変化が生じた。口座開設数で見ると、現在は個人投資家が多数を占める。しかし、ファンドが保有する時価総額の比率と市場への影響力から見ると、機関投資家の役割が大きくなってきている。これは市場の安定に大きな役割を果たす。

3.中国の市場は次第に開放され、世界市場に組み込まれ始めた。対外開放面では、われわれは適格外国機関投資家(QFII)制度を導入し、最近数年は海外資金がその他のルートでも中国市場に流入している。流入額がいくらかははっきりしないが、市場には国内投資家とは完全に異なる要素が存在している。さもなければ、国内投資者は荒波にもまれ、株式市場の現実を知ることはできない。外国の投資家による中国株式市場への参入は、有利な要素のほうが大きい。

4.われわれは現在外部へと歩みだしている。機関投資家を国際市場に進出させ、国内市場と国際市場を比較しながら投資を行うことが非常に重要だ。

5.監督管理面から言うと、最近数年は法規が最も多く発表された時期だった。監督法規面では、中国の資本市場は世界でも最も厳しい市場の一つだ。

記者:将来の資本市場の発展を考えるとき、多くの人が市場の急騰、急落を懸念している。その点についてはどうか。

李所長:資本市場は必ず健全に発展する。市場の急激な変動は良くないという考えは捨てる必要がある。米国株式も急騰、急落を経験する。資本市場の調整が株価の急騰、急落によるのは正常なことで、全体としての上昇基調は変わらない。

わたしは、管理層が株式市場に対し行うべきことは二つあると考える。一つは、現在株価指数が持続的に上昇する中で、監督管理を強化し、インサイダー取引を厳格に禁止し、投資家がだまされることがないように保証し、リスク開示を十分に行うことだ。それができれば、株価が上がるにしても下がるにしても、市場の要素が主な働きをすることになる。

二つ目は、銀行の信用ローンが株式投資に回されることを厳しく禁止しなければならない。銀行業監督管理委員会が既に多くの措置を発表しているが、今後も監督管理を強化していくべきだ。

「人民網日本語版」2007年10月12日

 
 
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