十六大以降、農業と農村経済の発展における新たな突破

近年、中国は長期的に農村経済の発展を促すメカニズムの構築に取り組んでいる。食糧は3年連続で増産し、食糧単位面積の生産量は史上最高水準となり、主要農産物の品質も全面的に向上した。農民の収入も急速な伸びを示し、農民の生活水準は目に見えて高まっており、農村の社会事業の発展は加速している。農業と農村経済の発展は顕著な成果を挙げると同時に、新たな段階に入っている。

食糧など主要農産物の生産が安定的に増加し、農業総合生産能力もさらに向上

中国共産党第16回全国代表大会(十六大)以降、党中央、国務院は、国民経済の基盤としての農業の地位を強化し、農業の構造調整、食糧総合生産能力の向上に力を入れた。2004年―2006年の食糧生産量は1985年以来初めての3年連続の増産を実現し、3年間の食糧増産量は合計667.5億キロに達している。2006年の食糧総生産量は4974.5億キロとなり、食糧総合生産能力も史上最高のレベルになりつつある。食糧単位面積生産量は3年連続300キロを上回り、2006年のそれは314キロで、史上最高記録となった。

栽培業の構造は合理化し続け、綿花、果物、野菜や食用油、砂糖関連の経済作物生産は比較的に速い発展を遂げ、主要農産物は優位性のある地域へ集中する動きが顕著化している。2006年の綿花生産量は675万トンに達し、2002年に比べて37.2%増となった。植物油の生産量は3059万トンで、同5.6%増。砂糖の生産量は11032万トンで、同7.2%増。果物の生産量は9599万トンで、同38.1%増。主要農産物における優良品種の比率と良質化レベルも一層アップし、2006年の綿花、植物油、砂糖の単位面積生産量の全てが、史上最高を記録した。

牧畜製品と水産物の生産量は安定的な伸びを示した。2006年の肉類総生産量は8051万トンに達し、2002年に比べて22.2%増となった。牛乳の生産量は3193万トンで、145.7%増。水産物の生産量は5250万トンで、15.0%増。農産物の生産量の増加は、社会に豊富な生産・生活資源を提供し、人々の物質的生活水準の向上、生活の質の改善に寄与している。

農民の収入が急速に伸び、農民の生活の質は著しい向上

2006年の農民1人当たりの純収入は3587元となり、2002年に比べて1111元の増加、年平均278元の増加である。農村部住民の1人当たり純収入の伸び率は2002年の4.8%から、2006年の7.4%に拡大し、「第10次五カ年計画」期の前3年間における収入増加ペースの低局面から脱け出し、新たな急速上昇の時期に入っている。2004―2006年において、農民の収入増加は3年連続300元を上回り、歴史上未曾有の伸びを見せた。農村就業構造の変化にともない、農民の収入構造にも新しい特徴が現れている。

1、給与性収入が農民の収入増の主な要因となっている。2006年の1人当たり給与性収入は2005年に比べて200元増加し、農民収入増への寄与度は60.2%。

2、家庭経営収入の比率は引き続き低下し、給与性収入の比率は安定的に上昇している。2006年の農家の1人当たり純収入は1931元で、農民の1人当たり純収入に占める比率は53.8%となり、2002年に比べて6.2ポイント縮小した。1人当たりの給与性収入の農民1人当たり純収入に占める比率は38.3%となり、2002年に比べて4.4ポイント上昇した。

収入の不断の増加が農村住民の生活改善の基盤となっている。農村住民の1人当たりの生活消費支出は2002年の1834元から2006年の2829元に増え、年平均249元増加した。農村住民の消費構造にも絶えず改善が見られ、生活水準は全面的小康社会の目標に近づきつつある。それは、主に次のいくつかの面に現われている。

1、エンゲル係数は2002年の46.2%から2006年の43.0%まで、3.2ポイント低下し、農村住民の消費構造が合理化し続けていることを示している。

2、発展と享受型消費関連の支出は急速に伸びた。2006年の農村住民の文化・教育・娯楽、医療・保健、交通・通信関連の支出はそれぞれ305元、192元、289元に達し、2002年に比べてそれぞれ45.2%、84.6%、124.0%増となった。

3、現金消費比率の伸びが比較的加速している。全国の農村住民の生活消費の中の現金支出は、2002年の1468元から2006年の2415元まで増え、64.6%増となった。現金消費が消費総額に占める比率は2002年の80.0%から85.4%となり、5.4ポイント上昇した。これは、農村住民消費の市場化の程度が絶えず高まっていることを意味するものである。

4、情報化設備が急速に農村住民の家庭に入っている。農村住民冷蔵庫など耐久消費財の100戸あたりの保有率が着実に伸びていると同時に、電話機、携帯電話およびコンピュータなどの情報化設備の農村部における普及率も伸びている。2006年、農村住民100戸あたりの電話機保有数は64.1台となり、2002年に比べて23.3台増加し、携帯電話は62.1台で、48.4台増加し、コンピュータは2.7台で、1.6台増加した。

農民の純収入の急増が農村における貧困扶助事業の発展を大いに促進している。農村の貧困人口と低収入人口は減少し続け、年平均1人当たり純収入が693元という農村の絶対的貧困ラインに基づいて推計すると、2006年の農村貧困人口は2148万人で、2002年に比べて672万人減少し、貧困率は2.3%で、2002年に比べて0.7ポイント低下した。農村低収入人口は3550万人で、2002年に比べて2275万人(39.1%)減少した。

農業及び農村の経済構造に良好な変化が現れ、農産物の品質が向上し続ける

新段階の情況の変化という要請に応えるため、党中央・国務院は、農村の経済構造を改善し、農業生産の質を向上させ、農業生産により大きな市場を創出し、農業の成長パターンの数量的成長から質・効率的成長への転換を図ることを一層重視している。 農村の産業構造から見ると、2006年の農村における増加額の中で、第1次産業のウェートは29.6%で、2002年に比べて0.9ポイント低下し、第2次産業のウェートは54.8%で、1.9ポイント上昇した。農業、林業、牧畜業、漁業の農業総生産額に占める比率から見ると、農業の比率は縮小し続けており、林業、牧畜業の比率は上昇し続けている。2006年の農業、林業、牧畜業、漁業の農業総生産額(農、林、牧畜、漁業関連サービス業を除く)に占める比率はそれぞれ52.3%、3.9%、33.1%、10.8%で、2002年と比較して、農業の占める比率は2.2ポイント低下し、林業、牧畜業はそれぞれ0.1、2.2ポイント上昇した。業種別に見ると、栽培業における大口農作物の構造が大きく変化し、良質農産物が急速な発展を遂げている。農業部の大まかな統計によると、2006年の中国の水稲、小麦、トウモロコシ、ダイズの四大食糧品種の品質優良率はそれぞれ69.1%、55.2%、42.0%、65.7%に達している。栽培業生産の専門化分業や地域化生産は一層強化され、全国では、すでに東北のダイズ・トウモロコシ、黄河・淮河・海河流域の落花生・小麦、長江流域のアブラナ、新疆ウイグル自治区の綿花産業ブロックが形成されている。農業生産では、エコ製品の開発が一層重視され、無公害農産物、グリーン食品及び有機食品の「三位一体」の全国安全農産物の全面的発展の構図がすでに初歩的に形成されている。

生態環境を保護し、農業の持続可能な発展を維持するため、国の天然林保護、耕地を林地に戻すプロジェクトなど多くの農村における生態系保護プロジェクトに大きな進展が見られる。林業部門の統計によると、2006年までに、国は2427万ヘクタールの土地を耕地から林地に戻した。2006年の天然林保護プロジェクトでは、9838万ヘクタールの森林を有効に保護し、公益林95万ヘクタールを造林した。こうした生態系の保護・回復プロジェクトは著しい効果を挙げている。

農村での非農業産業が急速な伸びを示し、工業化、都市化は安定的なレベルアップ

党中央、国務院は、大・中・小都市と鎮の共同発展の方針を堅持し、郷鎮企業を主体とし、鎮の建設を基盤とした農村の非農業産業の急速な発展を図っている。郷鎮企業は国の農業産業化推進を契機に、産業構造の調整に力を入れ、いくつかの地域的特色を持つ、競争上優位性を持つ産業郡が形成されている。各地は、農産物の加工・転化をさらに重視し、エコ・ランドを前面に打ち出し、いくつかの際立った特色を持つ農産物加工リーディング企業を育成し、農産物加工業は郷鎮企業の発展における新しいホットとスポットとなっている。農業部の統計によると、2006年の郷鎮企業の営業収入は24兆6810億元に達し、2002年に比べて90.2%増となり、利益総額は1兆4735億元と、2002年に比べて95.0%増となった。農村における非農業産業の発展は、農村の就業構造の改善にも大きく貢献した。2006年の全国郷鎮企業の従業者数は1億4680万人近くとなり、全国の農村労働力に占める比率は30.5%に達している。

農村の非農業産業、とりわけ、郷鎮工業の発展は中国の工業化及び都市化プロセスを促している。郷鎮工業と都市工業の相互補完により、調和の取れた発展が可能となり、中国の特色のある工業化の道を歩み始めている。農村の工業化は農村の都市化をけん引し、各種類の郷鎮工業コミュニティの建設と完全化は、農村のインフラ改善につながり、農村サービス業の発展を促進している。鎮の建設では、郷鎮企業とサービス業を中心に発展が加速し、中国の都市化レベルは2002年の39.1%から2006年の43.9%に高まっている。

農村社会事業の急速な発展が全面的小康社会の建設に強力な保障を提供

中国は農村社会事業への資金投入を増やし、農村の経済・社会の全面的発展の局面の形成が加速している。2006年末の時点で、全国で新型合作医療試行が展開された県(市、区)は1451に達し、全国の県(市、区)総数の50.7%を占めている。農村における新型合作医療制度の加入者数は4.1億人にのぼり、全国の半分近い農業人口がそのメリットを受けている。2006年の西部地域の農村における義務教育段階の小・中学生には、すべての授業料と雑費が免除され、貧困家庭の学生には、さらに教材費の免除と寄宿生活費の補助が行われた。西部地域と中部地域の一部の試行地域の約5200万人の小・中学生の授業料と雑費が免除され、これは農村の教育水準の向上と農民負担の軽減に積極的かつ深遠な影響を及ぼしている。農村部で、最低生活保障を受けている人数は大幅に増加し、2006年の人数は1593万人となり、2002年に比べて1185万人増加、その増加率は2.9倍となっている。

 

 
 
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