「十七大」報告で、「金融改革」が提起された意義

上海証券報によると、中国共産党の胡錦濤総書記(国家主席)が15日に中国共産党第17回全国代表大会(「十七大」)開幕式で行った活動報告で、金融業の改革と発展に言及した部分について、業界関係者は「金融業の発展に向けた任務が具体的に示された。特に現代的な金融システムの建設や資本市場の構造改善などに関し、新たな表現や要求が示された」と指摘した。

金融市場の新たな発展方法

報告の原文は「金融体制改革を推進し、さまざまな金融市場を発展させ、多彩な所有形態や経営形式を形成し、合理的な構造を持ち、機能が整い、高効率で安全な現代的な金融システムを整える」と指摘した。

中国人民大学金融証券研究所の趙錫軍副所長は、報告中で示された金融体制改革とさまざまな金融市場発展に関する表現には新味があると指摘する。趙副所長は「金融市場の建設を推進することは言うまでもないが、高効率で低リスクの金融システムを構築することは、金融業の発展と現在の経済情勢の関係に対し、適切な判断と政策決定を行ったものだ」と評価した。

中国政法大学の劉紀鵬教授は「現代的な金融システム」という表現は銀行、証券、保険の3業種を含むと解説した上で、「中国で改革開放が始まって29年目にして、戦略の重点が簡単な商品市場の整備から健全な金融市場システムへと移った」と指摘した。

証券業、資本市場に関する言及に変化

一方、報告の原文は「資本市場の構造を改善し、多くのルートで直接資金調達の比率を高める」とした。中国証券監督管理委員会の関係者は「政治報告が示した任務は具体化され、資本市場改革と資本市場発展の方向性は間違いないですが、今は構造改善作業に取り組むべきだ」と述べた。

燕京華僑大学の華生校長は「資本市場の構造改善、直接資金調達の拡大は資本市場が現在直面する主要課題だ」とした上で、株式改革後の構造的問題として、社債市場が未発達で、債権による資金調達比率が低いこと、多階層の資本市場システムがまだ健全ではない点を挙げた。構造改善とは主にこれらの問題を指しているとみられる。直接資金調達の拡大に関しては、「株式発行を引き続き拡大したり、上場株式の流通株比率を高めることのほか、鍵となるのは社債の発行規模を速やかに拡大することだ」と指摘した。

業界の競争力向上で市場開放に対応

報告の原文はまた、「銀行業、証券業、保険業の競争力を高める」と指摘した。中国建設銀行研究部の責任者、郭世坤氏は、「金融業は近年の改革と発展により、 国民経済の中で占める地位がますます重要になっている。金融業の改革は世間の注目を集めており、安定的な発展を成し遂げ、不良資産の比率も低下した。中国の銀行 は世界ランキングでも相当の地位と相当量を占め、国民経済全体に及ぼす促進作用もますます大きくなっている」と述べた。

中国人寿資産管理有限公司の繆建民董事長は、「保険業の発展が単独で党の報告に言及されたのは過去に例がないことで、党、政府が保険業の発展を重視していること を証明する。」と述べた。その上で、「報告では2カ所で保険業に言及があったが、業界にとってはチャンスでもあり、試練でもある」と指摘した。

既定目標に従い為替改革を

報告はさらに「人民元為替レート形成のメカニズムを完全なものとし、資本勘定項目の兌換(だかん)を徐々に実現する」と指摘した。

中国銀行の国家金融専門家、譚雅玲氏は「報告は中国が既定目標に従い、徐々に為替レート改革と資本勘定項目の兌換を進めることを示している。人民元切り上げ圧力が大きい中で、これは中国における改革長期目標の実現にプラスとなり、金融安全の保護にもつながる」と指摘した。

「人民網日本語版」2007年10月17日

 
 
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