頤和園の長廊画A 写真・文 魯忠民

 
 

   
 

堯 舜を訪ねる

 この彩色画は『二十四孝』の物語から取られている。古代五帝の一人の舜は、小さいころから孝行息子。父親はまじめで情の厚い農夫だったが、母親は家計が苦しいために、夫に対して小言ばかり言っていた。舜には象という弟がいたが、この弟も父親に対して傲慢で、敬うことをしなかった。ただ舜だけが父母に従い、よく弟の面倒をみて、その誤った心根を変えたのである。

 こうした比類のない孝心に天帝がいたく感激し、舜が山すその畑を耕すときには神象がこれを助けた。また草を刈るときには神鳥がこれを手伝った。時の帝王・堯が舜の孝行ぶりを噂に聞いて、訪ねていった。9人の側近をつかわして、舜の親を世話したばかりか、娘の娥皇と女英の2人を舜のところに嫁がせた。こうしていくつかの試練を経たのちに、堯はついに帝位を舜に与えたのである。

 「堯 舜を訪ねる」の彩色画は、頤和園長廊の中ほど、排雲殿の東側の梁にある。

 
   
   
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北京の頤和園は、中国清代の離宮である。庭園にある長廊は、全長728メートル、世界でも最長のギャラリーと言われている。その梁の上には人物や山水、花鳥、建築など各種の彩色画が8000以上ある。なかでも人物画は中国の古典文学、歴史物語、神話伝説などから材を取って、描かれている。本誌では今月号から長廊の彩色画を1つずつ取り上げて、絵画に描かれた物語をご紹介していきたい。

 

   
 

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