13億の生活革命(38)

「学生栄養食」が育てる健康な子ども

                             侯若虹=文 馮進=写真

大人気の肉まん

 段欣宇さん(15歳)は昨年の9月、北京市第4中学校(日本の中学・高校に相当)の高等部に入学した。この学校は北京でも有数の進学校の1つで、百年の歴史がある名門校だ。段さんがこの学校に合格したことを両親はとても誇りに思っているのだと、彼女は気まり悪そうに言った。

 高校に入学してから、段さんは学校に寄宿するようになった。学校の宿舎は限りがあるため、すべての生徒が寄宿できるわけではない。まずは遠い郊外に住んでいる生徒を優先させ、残りの部屋を成績の良い生徒から順に分け与えていく。段さんは成績が良いので、学校に寄宿できるというわけだ。

 段さんの父親はエンジニアで、母親は教師をしている。2人とも仕事がとても忙しい。段さんが中学生の頃は、毎日学校で昼食を食べていたので、家では夜だけ食事が作られていた。「今、両親はさらに手間が省けたと思うわ。私は1日3食をすべて学校で食べているから」と段さんはニコニコしながら話す。

 学校の食事について段さんは、「私たちの学校の食堂はとてもおいしいのよ。朝食は豊富で、種類も多く、毎日バラエティーに富んでいるの。特に肉まんはサイコー。みんな大好きなのよ」と満足げだ。

 総務主任の白永昌先生も「第4中学校の肉まんはとても有名なんですよ。卒業生たちも学校へ戻ってきたときは、この肉まんを食べることを忘れません!」と笑いながら言う。

 午前の2時限目の終了を告げるチャイムが鳴ると、生徒たちが学生食堂にちらほらとやってくる。間食を買いに来たのだ。牛乳、肉まん、卵のセットで3元(1元は約14円)。ほとんどの生徒は、肉まんを1個(0.8元)だけ買っていく。朝7時半から授業が始まるため、遠くに住んでいる生徒は朝食が食べられない。そこで、9時半のこの間食の時間は、彼らにとっていわば「給油」の時間なのだ。

 食堂内には1週間の献立が掲示してある。毎日の昼食は4つのランクがあるが、価格はあまり変わらず5〜8元の間。違いは、それぞれ味が異なることだ。

 食堂は小さく(20年前に建てられた)、すべての生徒を収容することはできない。そこで食事ができあがると、1年生の分は統一の容器に詰めて教室まで運ぶ。段さんは「私たちのクラスでは、毎日順番に二人のクラスメートが食堂に昼食を取りに行って、みんなで教室の中で食べるの。並ばなくて済むからとっても便利よ」と話す。

 この食堂を経営している史永豊さんは、1992年から「学生栄養食」(学校給食)を作る仕事を始めた。数年の実践を経て、今では専門の勉強をした栄養スタッフが献立を作成し、それをコンピューターにインプットして、栄養食の専門のソフトでその栄養成分が国家の制定した「学生栄養食」の基準に合っているかどうかをチェックする。献立は毎週1回作成し、毎日そのメニューは異なる。それを食堂に掲示して、生徒たちに自分の好きなものを選ばせるというしくみだ。

 「学生栄養食」を作る手順はとても複雑である。衛生を各段階で厳しく検査するだけでなく、各料理で使う材料の量まで厳密に量り、栄養バランスを保証する。

栄養バランスを重要視

 「学生栄養食」の概念が中国人の生活の中に現れたのは、十数年前のことである。しかし、北京市第4中学校のように比較的整った「学生栄養食」を提供している学校は多くはなく、学生食堂がない小・中学校や高校もかなりある。

 これまで、児童や生徒の昼食については次のような解決方法があった。@学校の近くに住み、家に祖父母がいる場合、帰宅して食べる(もっとも幸せな方法だ)。Aお弁当を持ってきて、学校で温めて食べる。B共働きの家庭の子どもは、父か母の勤め先の食堂へ行って食べる。当時はよく、こういった食堂に子どもたちの元気な姿があった。
 
 1990年代になると、街道住民委員会や小さな食堂などが相次いで学校に通う子どもたちに昼食を提供する「小飯卓」を設け、彼らの昼食問題を解決した。

 80年代後半から、中国人の生活水準は少しずつ向上し始めた。一部の専門家は、中国人の身体的素質を根本的に良くするよう、食事の構造を改善し、栄養バランスを整えるべきだと提案した。そして、小・中学生や高校生に対する「学生栄養食」の試行を始めた。二20年近い試行・普及と政府の支援の強化により、今では、「学生栄養食」は多くの都市にしだいに広がっている。

 ……

好き嫌いと栄養の矛盾

 ……  (全文は2月5日発行の『人民中国』2月号をご覧下さい。)