明·斗彩八卦瓷炉
高さ9.5センチ、口径12センチ。北京·小西天の清墓で出土。

 白磁が出現したのちに、色彩を使ってそれに文様を描いた美しい彩磁が焼成されるようになった。

 彩磁には釉上彩、釉下彩、そして斗彩の三種類ある。

 斗彩磁器は、明清代の彩磁のなかで最も著名なもの。その技法は明代の宣徳年間に考案され、成化年間に発展し、そして広まっていった。彩磁の発展に伴い、色付けの方法も複雑になっていく。また清代の乾隆年間に入ると、「五彩」と区別するため、彩磁のなかで青花(青色の文様)のある焼き物を正式に「斗彩」あるいは「填彩」と呼ぶようになった。

 斗彩磁器の制作方法は、白地に文様の線をまず描き、それに透明の釉(うわぐすり)をかけて高温で焼く。そのあと、低温の色彩材料を用いて空白の場所を絵でうめ、再び窯に入れて焼いていく。これは景泰藍(七宝焼)の制作技法を借りたものだが、斗彩磁器の制作ではよく用いられる方法である。

 斗彩は焼成した青花に紅、黄、緑、紫などの色彩を加えて焼くもので、この製法から言えば釉上彩に属する。

 二つの耳、三本の足を持つ八卦瓷炉は、地が乳白色を帯びて美しい。造形も古雅である。肩部には青花の八卦の文様、腹部には花の文様が施されている。鮮明で清新な感じを見る者に与える、明代中期の磁器の傑作である。

 明代の斗彩磁器は、高い芸術的価値を持っていたが、また、清代の『唐氏肆考』のなかに「神宗廟器,御前有成杯一双,値銭十万,明末已貴重如此」と書かれているように、経済的価値も高いものがあった。 (文・和平 写真・李瑋 )

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