元·青花扁壺
高さ18センチ、口径4センチ

 中国の陶磁器発展史上、最も重要な地位を占めているのが、民族的特色が最高に濃い青花磁器。長い間、国内外で人気を集めている磁器だ。

 表面の青色と地の白さの対照が美しく、高雅な印象を観る者に与える。着色力が強いため、色があせることはなく、描かれた絵には、伝統的な水墨画の特色がよく出ている。こうした特徴をもつ磁器は、ほかには見られない。

 古代、人びとは青、緑、藍の三種類の色を“青色”と呼んでいたので、青色の文様は“青花”と言われるようになった。

 青花磁器の起源は唐代だが、正式に焼成されるようになったのは元代から。当時使用されていた顔料には、輸入と国産の二種類あった。輸入顔料はスマトラ一帯、国産は雲南が主。

 北京にある元代の大都遺跡から出土したこの青花扁壷は、これまでに発見された青花磁器の中で古いほうで、数少ない貴重な磁器である。造形は典雅で趣に富んでいる。さし口は上にもたげた鳳凰の頭、取っ手は巻き上げた鳳凰の尻尾。胴体の部分も描かれているので、頭と尻尾がつながる格好になっている。形のすばらしさ、形と色の調和から見て、出色の芸術作品と言っていい。しかし、元代の青花磁器は質、量ともに明清のものよりはるかに劣っており、また、年号の入っているものが少ないため、造形、文様、出土状況などから元代の磁器だと判断するしかない。(写真・李瑋 文・趙光林)

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