五代·秘色葵口瓷盤
高さ4.7センチ、口径16.3センチ。北京市密雲県の遼冶仙塔から出土。

 浙江省の上虞、余姚、紹興などの地は中国青磁の発祥地、主要な生産地だ。隋唐時代に越州窯がこの地に置かれると、生産される青磁はその後、堅固で光沢があり、種類も豊富な越州窯磁器として知られるようになっていった。

 陶磁器史に関する文献には、唐·五代の越州窯磁器には宮廷に献上するための「秘色磁器」があったと記されているが、この「秘色」に関する解釈、何故そう呼ばれたかについては宋代以降、いろいろな説があって確定はしていない。

 1987年、陝西省扶風県の法門寺の唐代建造の塔下宮殿から磁器十四点が見つかったが、同時に出土した石刻に「秘色」の記載があったことで大きな発見として注目された。続く八八年には、北京市密雲県の遼代の塔下でこの盤(皿)が出土。専門家の鑑定で、五代十国(907~979年)の「秘色磁器」だと認定された。皿は葵の花弁の形をしており、釉(うわぐすり)は蜂蜜の色を呈し、上品で静かなたたずまいを見せている。

 二つの磁器の出土によって、釉が蜂蜜の色を呈しているところから、「蜜」と同じ発音の「秘」を取って命名された、制作技術や原料が秘密であったために「秘色」と呼ばれた、との説が出てきた。ともに注目に値する説だが、いずれが正しいかは以後の研究にゆだねるしかない。 (写真・李为瑋 文・史和平)

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