清·雍正御窯倣鈞釉匜式尊
高さ23.9センチ、口径11.4センチ。 中国歴史博物館蔵

 磁器は清代に入ると一層の発展を遂げる。この時代、雍正御窯で焼成された磁器は最高品質を誇り、とくに彩磁器は定評があった。雍正御窯は、雍正皇帝在位(1723~35年)の時に江西省の景徳鎮に設けられた官窯で、宮廷使用の磁器を大量に生産していた。

 雍正御窯で作られる磁器を前の年間の康熙皇帝の御窯のものと比較すると、色彩に混じり気がなく、上品な美しさをみせるきめ細かな仕上がりとなっている。種類も非常に多い。制作にあたっては新しい試みが多くなされており、同時にまた、古い時代のものをまねた作品も少なくない。しかし、模倣といっても決して単純ではなく、もとの作品よりもさらに精緻をきわめ、変化に富んでずっと魅力的である。

 この作品は、宋代の青銅匜(い)(鉢形で横に注ぎ口の突き出た容器)を模して作られている。淡い青色の器身に紫色の釉が掃かれているが、肩部から腹部にかけての濃淡の変化は自然である。古朴だが重厚な趣があり、気品に満ちた作品だ。底部に刻された「雍正年製」の四文字も端正、秀麗である。

 専門家によれば、宋代の作品を模倣していても、清代の「宜興鈞器」の影響も比較的大きいという。宜興窯の釉かけ技法を採用、釉色の変化と流れのすばらしさは宋代鈞窯の作品を上回るものがある。焼成の難しい逸品といっていいだろう。(文·写真 孫克譲 )

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