元·磁州窯竜鳳紋罐
高さ42.5センチ、口径22.5センチ。1985年、河北省赤城県鎮寧堡郷で出土。

 磁州窯。河北省磁県の観台鎮や彭城鎮一帯にあり、唐宋から明清にかけ、この地は磁州と呼ばれていたのでその名がある。北宋から民間で使う陶器を生産し、北方民窯の中ではかなり有名だった。白磁の生地に、彫刻や絵で美しく豪放で、生活の息吹あふれる各種の模様が描かれているのが特色。とくに白地に黒、あるいは褐色が多い。当時の官窯はほとんどが単色の釉(うわぐすり)を使っていたが、これに対し磁州窯は、磁器に直接絵を描く試みをしている。これは中国陶磁器史上、画期的なことであり、異彩を放つ竜鳳紋罐は磁州窯の代表作と言っていい。

 すべての図案の輪郭は、濃い褐色。内側は淡い黄褐色で軽く描かれ、さらにその空白に再度色を施している。虚実一体感があり、粗っぽくみえるが酒脱だ。商代以降、描かれる竜は多くが口を開いているが、難しいといわれる口を閉じた竜をもつこの作品から、作者の個性と技術のすばらしさが分かる。飛ぶ鳳凰も迫真の出来栄えだ。竜や鳳凰は皇帝の“独占物”。この罐は元の大都(今の北京)と上都(今の内蒙古·正藍旗)を結ぶ路上で発見されているところから、元の皇帝がその途中で使用していたものであろう。 (写真·李樹濤 文·王国栄)

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