唐·三彩鴛喬孟銅勺

孟の高さ19.5センチ、長さ27センチ。勺の長さ28センチ、勺径6.7センチ。1989年、河南省安陽市劉家荘の唐墓から出土。

 唐三彩は一般に、粕の色は黄、緑、白色あるいは黄緑、藍、紅褐色が用いられている。造形、装飾、紬色、焼成の面で中国陶磁器史に新しい一頁を開いた陶器だ。

 素地は白色の粘土が使われ、銅、鉄、コバルト、マンガンを含んだ鉱物で粕を作り彩色。粕に溶解剤として鉛を入れ、八百度で焼成する。毒を含んだ鉛粕が使用されているため、唐代には日常生活で用いられる器物は焼かれず、もっぱら上層社会の人びとの副葬品が作られていた。造形は家具、人物ハ家畜などさまざま。盛唐時代は厚葬がはやっていたため、官吏が亡くなると多くの三彩陶器が副葬·され、こうして大量の唐三彩が地下に埋められていった。この半世紀、全国各地の唐代の遺跡や墓で膨大な、しかも目を見張るすばらしい唐三彩が出土している。

 この三彩陶器は鴛喬(オシドリの漢名)を形どったもの。首や羽、尾の部分は黄、緑、白の三色が用いられ、鮮やかで光沢があるが、腹部は紅褐色のためほの暗さが感じられる。孟とは、古代使われた飲食物を入れる器。

 半球形の銅勺は鴛喬孟と同時に見つかった。細長,い柄の中段には九つの線が彫られ、端にはくの文様が見られる。極めて精巧な作りだ。

 鴛喬は中国では「愛情」の象徴。二千年前から飼育がはじまったといわれ、縁起の良い鳥として昔から広く用いられている。図案化されたのは漢代から。階唐時代以降、陶磁器にも広く出現するようになった。

 唐三彩は国外にも伝わり、日本をはじめインド、イラン、エジプト、イタリアなどでも数多く発見されている。 (文·河野 写真·姜甘忠)

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