殷·三虎足獣面紋銅鼎

高さ62.4センチ、口径39.3センチ、深さ17.8センチ、重さ28.5キロ。1989年、江西省新干県大洋洲の股代大墓出土。

 近年、中国南方の長江両岸から、股代の城跡や宮殿、祭祀用の穴、墓などが数多く発見され始めた。これは長江が黄河と並んで中華民族の母なる河だったことを物語るものである。

 一九八九年の冬、江西省新干県大洋洲の股墓から、青銅器、玉器、陶器、骨器など千九百余点が発掘され、南方考古学に貴重な収穫をもたらした。墓は江西省中部に位置し、出土品の豊かさが関係者の熱い視線を集あた。出土した青銅器は種類もその形も様々で中には今までに見られなかったものもある。中原地帯と共通の基盤の上に、局部の造形や紋様に新工夫をこらして地方色を強くにじませている。それは股代南方文化の見直しを迫るものだ。高純度の銅精錬技術といい、一体鋳造と部分鋳造の組み合わせ技術といい、南方の生産力がかなり高いレベルにあったことを示している。

 この銅鼎は浅い腹部、円底、直立の耳が二つ、耳の上に伏せた虎、器の縁は厚く、周りは燕尾紋、腹部に鼻のつき出た獣面紋が六個、上下に連珠紋がある。虎形の三本の器足はふくらみがあり、中原地区の扁平の菱足とちがった特徴がある。虎は目がとび出し、口をぐっと開いて、背を怒らせ、三角形の鋭い歯が器底に噛みついていて、耳の上の伏せた虎と好対照である。このような成果をあげた大洋洲の殼墓が孤立していたとは考えられない。三千六百年前の股王朝の南方領土はどこまで広がっていたのか、新たな課題である。(文·河野 写真·王露)

人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850