商·玉羽人

高さは11.5センチ。1989年に江西省新幹県大洋州の商代墓から出土。

 玉器は中国古代文明の象徴的存在で、新石器時代にすでにあり、今から四、五千年前の同時代中·後期には、玉器製作は手工業として発展を見せていた。当時、玉器は貴族の日常生活で使用されていたほか、宗教的祭器、礼器として幅広く用いられ、玉器文化といわれるものが形成されていた。夏·商代に、玉器の生産と使用は最盛期を迎える。

 1989年、江西省新幹県の大洋洲にある商代の墓から大量の文物が発見された。この玉羽人はこれまでに見つかっている「羽人」像のなかでは最古。芸術的価値のすこぶる高い逸品だ。

 神仙思想の起源はかなり古いが、そのなかに修行して悟りを開き、翼が生え、天に昇って仙入になったという故事がある。これが「羽人」と呼ばれる仙入である。戦国時代に書かれた『楚辞』や『山海経』にも「羽人」に関する記載がある。天に昇って仙人になり、不老長寿を願う人びとの強い気持ちがそこに表れている。

 赤褐色の商代玉羽人は、横を向いてしゃがむ姿勢をとっている。正面と背面にある対称の文様。太い眉、大きな眼、わし鼻。背、腰から尻、胸の両わきから脚にかけての翼の陰刻、冠についた透かし彫りの三つ輪が特徴的だ。

 商代の玉石は、青、白、黒、黄色などが多いが、このような赤褐色の玉は極めて珍しい。商代に玉器製作は手工業として成長したが、その製作技法は今日まで引き継がれており、中国工芸美術史上で重要な地位を占めている。 (文·河野 写真·王露)

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