後漢·錯銀銅牛灯

高さ6.2センチ。1980年に江蘇省汗県で出土。南京博物院蔵

 中国古代の青銅器、とくに春秋戦国や漢代には、鋳造を経て装飾加工されたものが多い。トルコ石や玉、メノウ、金銀、純銅などがちりばめられた青銅器はことのほか華麗で、目を奪うばかりの美しさである。金銀象眼の技法はこの時代、重要な装飾技法だった。

 金銀象眼の技術は、青銅器の矛(ほこ)や剣などの兵器の銘文に多く見られる。まず、金象眼技法が出現。漢代に入ると、青銅器の生産規模、形や装飾は以前ほどではなくなるが、象眼技法は衰えをみせることなく、なかには非常に美しいものもある。銀象眼は装飾効果が極めていい。銅の黄色に銀の白色。それらが織り成す文様は抜群の美しさである。そのため、漢代の銅器の装飾にはよく使用されていた。

 灯具の製作は、戦国時代にすでにかなり精巧な作りをみせている。漢代の銅器は実用性が重んじられ、銅灯の鋳造は最盛期を迎えた。形はさまざまで、現実生活に基づいて設計され、写実的で想像力に富んでいる。

 丸々と太った牛が灯の台座。その上に置かれた皿に油を入れて火をつける。その縁に移動できるかさがあり、これで風をふせいだり明るさを調節する。灯の頭から牛の首にのびた管を通って、煙は牛の体内に入っていく。室内の空気が汚れない仕組みになっているのだ。実用性と芸術性が一体となった得難い作品である。 (文·河野 写真·王露)

人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850