西周・青銅甬編鐘

1990年、河南省三門峡市虢国墓で出土。

 原始社会にすでに磬(けい·玉や石で「へ」の字形に作って吊した楽器)や鼓があったように、中国の打楽器の歴史はかなり古い。商代に出現した銅鏡(どうどう·軍楽器の一種)は最古の青銅打楽器であり、西周時代に至るとこれが銅鐘に変化していった。

 銅鐘は祭祀や饗宴の際に用いられた打楽器で、甬という柄の部分を架に掛けて斜めに吊すのが甬鐘である。使用する時には、大きな甬鐘から小さいものへと順番に並べて音階を作り出すが、これを甬編鐘と呼ぶ。現在のところ最も古い鐘が、陝西省宝鶏市茹家荘と同省長安県普渡村の西周中期の墓で出土している。いずれも三個の甬鐘から成る編鐘だ。

  1990年、河南省三門峡市にある虢国(かくこく)墓発掘が始まり、墓六基、車馬坑三基、馬坑一基の調査で今のところ、一万五千点余りの文物が出土している。うち青銅器は約七千点。甬編鐘は八個発見されており、四高音と四低音に分かれ、それぞれの鐘に銘文が鋳られていた。出土品は古代中国人の知恵と技能の高さを示している、と言っていい。
この甬鐘は見つかった八個の中のひとつ。表面に36個の突起物があり、夔竜(きりゅう·伝説上の動物)文様と鳥の装飾が見られる。副葬品の九鼎八簋(き·神に供える容器)と「虢季」の銘文から見て、墓主は虢国の君主あるいは地位の比較的高い貴族だったのではないかと考えられている。

 虢国墓とその出土品は高度な歴史的、文化的、科学的価値があることから、その発見は国内外で大きな反響を呼んだ。 (文·写真 王露)

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