![]() |
河南省 鄭州市 古代文明つたえる三つの博物館 写真・閻新法 牛愛紅 郭 実 文・郭 実
省内で最大規模ほこる「河南博物院」
収蔵する文物は12万点余り、うち国家・省クラスの重要保護文物は4万点余り。有史以前の文物や商・周代の青銅器、歴代の陶磁器などが充実している。展示ホールは、総合テーマの「普通陳列館」と、特別テーマの「特別陳列館」、短期間展示の「臨時陳列館」にわかれており、ビデオや録音テープで解説したり、質問に答える、コンピューター・システム化された視聴覚教育機器が設けられている。
青銅器方鼎の形の新館「鄭州博物館」
市の中心部、緑城広場の隣にそびえ立つのが「鄭州博物館」の新館だ。鄭州で出土した商代の青銅器方鼎を模しており、人目を引いている。 57年に、もとの公園用地に建てられた。その後、97年に総投資額3千万元の新館の建設が着工され、2年後の99年にオープン。青銅器方鼎の形のユニークな建物は、上部が皿状の屋根に覆われている。「天はまるく、地は四角く、鼎は中原に立つ」という意味がこめられたものだという。建築面積は、1万4206平方メートル、展示用メーンホールの面積は、8337平方メートル。
河南省は、中国最古の王朝が都を定めたところとして知られるが、夏代は陽城(いまの登封市)に、商代は殷(いまの安陽市)に都がおかれ、それぞれ奴隷制時代における中国の政治、経済、文化の中心地として栄えた。省内の各地から出土した文物は、さまざまな王朝の歴史を今に伝える。 鄭州博物館では、「鄭州文明の曙光」「古都鄭州の風采」「古代文化の趣」という三大テーマにより、鄭州で出土した文物を八つのホールに分けて紹介している。時代の流れにそくした展示は、歴史と文化の精髄を示すものとして評判を呼んでいる。
仰韶文化の石器など展示「新鄭市博物館」
鄭州市から南へ20キロほど行くと、新鄭市に着く。春秋・戦国時代、鄭の国と韓の国が前後してここに都を定め、中原に覇をとなえる大国となった。紀元前230年に韓が秦に滅ぼされるまで、都としての歴史は五百年におよんだ。新鄭市は現在、鄭州市に属する県レベルの市である。
市街区の西北部にある「新鄭市博物館」は、1994年に建設された。敷地面積1万6000平方メートル、建築面積2300平方メートル。主要建築は、中国の伝統的な建築様式をとり入れた二階建て。3つの大ホールが5つの部分に分けられ、そこに千点余りの文物が展示されている。主な展示物は、次のとおり――。 一に、旧石器時代以前の古生物の化石。中国で発見された、最も長いナウマン象の象牙化石(長さ3・55メートル)がある。 二に、裴李崗村で出土した石器や陶器、墓葬品など。文物からは、八千年前に早くもここが、農業や手工業、家畜の飼育を主とした経済社会を築いていたことがわかる。 三に、新石器時代中期の「仰韶文化」(紀元前5000〜前3000年)に代表される石器や陶器、骨器、墓葬品、装飾品など。 四に、春秋・戦国時代の鄭・韓の古城に出土した兵器や楽器、祭祀器物、生活用品など。当時の高度な都市建設や工業、科学技術の水準から、発達した都市の様子がうかがえる。 五に、四千年前から民国時代までの貨幣。 展示物が時代ごとに区分されているので、そこから歴史や文化の発達のプロセスをつかむことができる。鄭州の博物館めぐりで、悠久の中国の歴史に思いを馳せてみてはいかがだろうか? (2001年8月号より)
|