『開往春天的地鉄』(春行きの地下鉄)

 

 7年。これは、夫婦生活に破綻が起きる臨界点と言われている。同映画は、平凡な夫婦生活を送っていた耿楽扮する建斌と徐静蕾扮する小慧の結婚から7年後の物語を描いている。

 失業した建斌は、自尊心を傷つけないために妻に真相を語れず、毎日、以前と同じように妻とともに地下鉄に乗り、出勤する振りをし続けた。そして、地下鉄の中で時間をつぶす以外に術はなかった。平板で息のつまる生活は、二人の間に感情の亀裂を生み、分かり合おうという努力もことごとく失敗した……。

 ほとんどのシーンが地下鉄の中で進み、ストーリーは、地下鉄と切っても切れない関係にある。張一白監督は、都市に住む人々の普通の表情を再現しようとした。多くの観衆は、同作品に自分の結婚の影を見る。まるで作品中、一匹のゴキブリが結婚写真を一生懸命よじのぼろうとしている寓意のように。

 不遇な日々を経て、愛はようやく二人のもとに舞い戻り、観客を安心させる。冬から春行きの地下鉄のように。