16日から日本の京都、滋賀、大阪で開かれた「第3回世界水フォーラム」に出席した水利部の汪恕誠部長は新華社のインタビューに応じ、「フォーラムでは、わが国が治水の面で収めた成果に世界各国が注目した。特に長江の水害発生後の復興や黄河の水枯れの問題、南方の水を北方に送るプロジェクトや、西部大開発での水利の整備など、中国が収めた成果に国際社会から幅広い関心が寄せられた。治水事業で中国が取った行動は、世界的範囲でモデルになる意義があるのでは」と述べた。
この中で、汪部長は「第3回世界水フォーラムは非常に重要かつ大規模な国際会議だった。この会議が開催されたことは、水問題がすでにグローバルな問題となっており、水資源の持続可能な利用を実現して、経済・社会の持続可能な発展をサポートし保障することが、世界各国がともに直面する緊急課題になっていることを物語っている」と指摘。
中国の水資源不足問題について、汪部長は「中国は干ばつや水害が頻発している国であり、1人平均水資源量は2200立方メートルに過ぎない。しかもモンスーン気候や地形条件の影響を受けて、水資源は時間的、空間的にアンバランスである。長江以北にある水系では流域面積は全国の64%を占めているが、水資源はわずか19%で、干ばつによる水不足が北方地区では深刻な自然災害となっている。全国の大部分の地区では雨が最も多い4月の降雨量だけで一年間の70%を占め、増水期には洪水による災害が頻繁に起きている。そのため、水利をよくして水害を防ぐことが昔から国を治める大事とされてきた。国際機関が公認する水不足の警戒ラインは1人平均1800立方メートルで、中国の人口は2030年にはピークを迎えて16億に達し、1人平均水資源量は警戒ラインを下回る1700立方メートルまで低下する。その一方で、水質汚染の防止は実効性のある効果を上げていない。2001年の水質評価結果によれば、調査した総延長12万1000キロの河川では、水質基準が4類の河川が14.2%、5類と劣5類が24.4%を占めた。河川の汚染はまた水資源を大幅に減少させており、中国は水資源で厳しい状況にさらされている」と強調した。
また汪部長は「人口増による水需要の持続的な増大と生態保護とのバランスの問題を解決するため、今後、水利インフラを全面的に改善していく」と強調するとともに、(1)水資源の節減と配置、保護を強化する(2)農業用水総量を増やさないことを前提に節水、農業の栽培構造調整などの総合的措置を講じる(3)用水効率を大幅に高め、水資源を持続的に利用することで経済・社会の持続可能な発展を保障する―――の3点を重点項目として挙げた。さらに汪部長は「水源の配置を強化して、節水を促進していく必要がある。例えば黄河の水枯れの問題では、90年代から水資源の需給問題が深刻化して、下流では頻繁に水枯れが発生し、最悪だった1997年には226日間も続いた。こうした厳しい現実によって、われわれは水資源の統一管理の強化や、生活と生産、生態関連用水の適度な配分が必要であるとことを徐々に認識するようになってきた。1999年3月から、黄河の全流域で水資源の合理的な配分と統一的な調整に着手し、計画用水や節水を実施したことで、大規模な干ばつに見舞われた年でも連続3年して水枯れは発生せず、黄河沿岸の都市・農村部住民の生活・生産用水はほぼ保証され、下流の生態環境も著しく改善された。将来、黄河の整備では『水資源権利の理論』を導入して、総量の40%を生態バランスの保持に使用できるよう確保する。残りの水量については、沿岸各地の生活・生産用水に対して指標を設定し、超過した者に費用を未超過の者に支払わせるようにして、最終的に節水の目的を達成する」との考えを示した。
「南水北調」(南方から北方に送水する)プロジェクトについて、汪部長は「節水に比べ、送水には一定の費用がかかるが、水資源配置の最適化には重要な措置となる。この面で最も注目を集めているのが、このプロジェクトである。南方は水が多く、北方は水が少ない。プロジェクトは北方の水資源不足と生態環境の悪化を緩和する戦略的な措置である。われわれは先ず節水した後に送水し、先ず汚染を解決した後に通水し、先ず環境を保護した後に用水する原則に基づき、関連する問題については全面的かつ深層的、科学的な論証を行っていく。プロジェクトでは、それぞれ長江下流と上流から引水し、東部・中部・西部に3本の送水路を建設して長江、黄河、淮河、海河の4大河川とつなげる計画である。2050年までに完成する予定で、送水総量は448億立方メートルに達し、黄河の利用可能な水資源量に匹敵する。2010年には東・中部ラインの第1期工事が終了し、北方地区の給水能力は134億立方メートル増えることになる」と説明した。
最後に汪部長は「水利プロジェクトの重点は今後、シフトしていくだろう。洪水防止を重点的に行ってきたなかで得た成果をさらに強化した上で、水資源の配置を重点に据えて持続可能な利用を促進し、2020年までにGDPを2倍にするという目標達成に向けて水資源を確保していく」と強調した。
(「チャイナネット」より)2003年3月26日
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