がん治療超音波機器がEU市場に
本格参入へ、独自開発で初の輸出


 重慶海扶技術有限公司は世界で初めて強度の高い集束超音波を利用してがんを治療する大型医療機器「海扶刀」を開発した。現在、EUの製品認証CEを申請中だ。順調に進めば、年内にも認可される見通し。

 同公司は2年前からドイツの専門家を招聘して認証に向けた作業を進めてきた。認証の取得には、医療機器本体の安全性と臨床試験が必要。安全に関する認証手続きは間もなく終了する予定で、臨床面では、国内の認可はすでに得ているが、さらに英国で20例の試験を行う必要がある。

 技術と治療効果はすでに世界の超音波治療の専門家に認められており、同公司は今年の夏にでも念願のEU市場参入認可書を取得できるのでは、と期待を示している。

 去年7月、英国オックスフォード大学付属病院に高強度集束超音波治療センターが設立され、同病院は「海扶刀」を導入して臨床応用を開始。中国が完全に自主知的財産権を持つ大型医療機器は過去1台も輸出されたことはなく、これにより"ゼロ突破"が実現した。また同センターは、西側諸国では高強度集束超音波で腫瘍治療を行う初めての施設で、「海扶刀」は核心的機器として利用されている。

 がんの伝統的治療法に比べ、「海扶刀」は患者の体内にある腫瘍を安全かつ迅速に、他の部位を傷つけることなく切除することが可能。患者に生理的な痛みをもたらさず、手術後の回復時間も大幅に短縮できるほか、必要に応じて何度も治療を行うことができる。研究者は「がんの治療手段に大きな突破口を開くもので、今後はあらゆるがんに対処する治療法になるだろう」と評価する。

 超音波治療は50年代に医学論として提起され、米国や日本、英国など先進国で研究が進んでいる。中国が世界に先駆け高強度集束超音波を利用した腫瘍治療システムを開発し、臨床応用に成功したのは1997年。国内での「海扶刀」による治療成功例は約2000例に達し、現在は20余りの大病院で幅広く応用されている。

 (「チャイナネット」より)2003/3/27