近年来、人民元は香港、隣国で盛んに流通することになり、地元での主な通貨ともなっている。
今年の旧正月には、香港の百余りのショップは、大陸からの観光客の購買意欲をさらに引き出すため、人民元での支払いを受け入れるようになった。現在、香港の多くのお店では、人民元によるお勘定も可と人民元・香港ドル為替レートが書かれた札が貼り出されているという。
ベトナムのある地域では、中国からの観光客たちは人民元で果物、おみやげなどが買えるようになっている。ミャンマではこのほど、中国人の観光客をひきつけるために、免税政策が打ち出され、最高免税額は6000人民元と決めた。
モンゴルでは、中国商品を大量に輸入しているため、人民元に対しての需要が伸びつづけている。首都ウランバートルでは、人民元も市場での流通貨幣となり、ホテルでの支払いまで人民元でできるようになっている。
中国人民銀行副行長、国家外国為替管理局の郭樹清局長はこのほど、「域外で流通している人民元はすでに300億元を上回り、周辺の国と地域に限らず、アメリカ、フランス、ドイツなどの先進諸国でも人民元の両替店がある。人民元の海外での大量流通は、中国と周辺の地域と国の経済の一体化が深まっていることの結果であり、中国の経済が持続的かつ急速に発展し、人民元の為替レートが長期にわたって安定を維持していることの結果でもある。これは、内外の中国経済、人民元に対する信頼感の現れである。このような信頼感を支えているのは、もちろん中国の外貨準備がすでに3000億ドルに達したという確固たる基盤であろう」と語っている。
人民元の域外での大量流通は、中国人の海外旅行ブームに伴って現れたものである。近年、海外旅行に出かける中国人がますます多くなっており、そのための外貨購入は逆に減少しつづけている。外国での人民元による消費がますます便利になっていることが原因であると考えられる。
経済アナリストの話によると、昨年、中国のGDPは10兆元を突破し、国際競争力も強くなる一方である。中国経済の急速かつ健全的な成長は、アジア経済の安定においての人民元の役割をさらに向上させることになった。先般のアジア金融危機では、人民元は為替レートの安定を維持することができ、周辺の国に一部のマーケットを提供し、アジア経済の危機を乗り越えるうえで大きな役割を果たした。新たに選出された温家宝総理は先般の記者会見で、人民元の安定はアジアと世界に寄与するものであると強調した。
現在、人民元の周辺の地域と国における流通は、人民元の国際化の第一歩にすぎない。世界で通用する貨幣になるには、まだ長い道のりがあると、専門家は指摘している。
( 「チャイナネット」より)2003/4/3
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