国際都市・上海市に「県」の行政区域がまだ残っている。同市の面積の5分の1を占める崇明島だ。長江によって市区と分割された"孤島"で、過去数十年の間、フェリーが唯一の交通手段。交通がネックとなって、崇明島は1978年に始まった改革開放後もその恩恵を受けることはなかった。2002年の1人平均GDPはわずか市区の5分の1。ここにきて橋梁の建設が認可され、65万の島民に全面的改革開放のチャンスが訪れた。
崇明島の面積は1200平方キロ。だが年に長江の土砂堆積で13.3平方キロずつ増えており、"一寸の土地、一寸の金"の上海にとっては、一片の得がたい新生地だ。海岸線は全島で229キロ、水深マイナス8メートル以上は17キロと、大型船舶の停泊も可能。崇明島は上海地区で唯一、国家クラスの生態モデル地区に指定されている。水や土、空気はクリーンで生態環境は良く、自浄能力も強い。毎年、世界各地から飛来する渡り鳥にとっても理想の地だ。
開発では、「点から面への拡大」をめざす。世界クラスの湿地自然保護区である東海岸を中心に、湿地公園や現代農業基地、高級住宅地を建設する計画で、総面積は174平方キロ。崇明島県政府のある陳橋鎮は将来、田園風景の残る30平方キロ、人口20万の住宅地となる。今ある東平森林公園は面積を55平方キロまで拡大して、上海最大の森林をめざす。西部の天然淡水湖・明珠湖は、上海随一の水質環境に恵まれているため今後、観光開発で内外資本を誘致していく。
崇明島中部では現代農業基地を発展させて、白米やカリフラワー、カボチャ、白山ヒツジ、崇明カニの5大特産物の生産拠点にする計画だ。北部は土地が広く、しかも無人であるため、一大開発に適している。ただ土のアルカリ性が強いため、まず良質の牛乳生産基地として発展させて、土壌を自然改良していく方針。またリゾート地として、華東地区最大の18ホールのゴルフ場を10カ所造成する。
将来の崇明島像は? 静寂で快適な生活がエンジョイできる島、上海の美しい"バックグランド・ガーデン"。
(「チャイナネット」より)2003/4/4
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