『有了快感ニ就喊』 池莉・著

 
 これは男性的小説である。主人公の卞容大は40過ぎで、家庭でも仕事でも、人の意見を最優先する中間的な立場にいる。卞は、このような自分の立場を受け入れていながらも、心の中ではもっと自由に生きたいと感じていた。

 ある日、彼の会社が倒産し、失業した。卞は、辛い日々を過ごした後で、自分を見つめなおし、自分の新しい場所を探そうとした。そして最後に、遠くチベットで仕事をすることを選び、都市から脱出し、自己防衛をし、自己救済をはじめる。

 「快感があれば叫ぼうよ」とは、1970年代、ベトナム戦争の米兵の救急箱にあったマッチ箱に印刷されていたスローガンで、男性が追い求める一種の精神状態である。女性の池氏が、この言葉を小説のタイトルに選んだのは、「人間的で、自由で、力強く、革命的で、悲壮な精神こそ、中国人男性が身につけるべきもののはず」と考えていたからである。
(中国青年出版社)