『生活週刊』
なぜ自由に海外旅行ができないか


 

 海外旅行は一般の中国人にとっても、ますます身近になっている。中国国家旅遊局の統計によれば、2002年1月から11月まで、中国人の出国者数はのべ1540万人に達し、昨年同期比39.8%の増加であった。全体から見れば、渡航費用、宿泊、観光、ショッピングなどを含むあらゆる旅費のうち、中国人海外旅行者の1回1人あたりの支出は、2000ドル(1ドルは約120円)を下らない。それにより、中国人の海外旅行の支出総額は、毎年少なくとも200億ドル以上になる計算だ。

 しかし中国では今、中国人観光客の渡航しやすい国が、その自費旅行の目的地国(ADS)となっている。そのため、各国の観光局は、中国人観光客のADSとなるための争奪戦を繰り広げている。2002年末までに、中国のADSは29カ国。さらに10カ国以上が、ADSの許認可を待機中だ。ADS証は、すでに外交上の重要な「資源」になったといえる。

 中国の各旅行会社の非目的地国(ADS認可以外の国)の顧客確保も、同様に激化している。会議旅行、奨励旅行、ビジネス旅行なども現れ、目的地国と非目的地国の差異も、それほど明確ではなくなりつつある。