未来の中国観光ゴールデン・コース
――青蔵鉄道


 「空中鉄道」と呼ばれる青蔵(青海―チベット)鉄道は、世界一高く、世界一長い「高原鉄道」だ。全長1142キロ、そのうち標高4000メートル以上の鉄道は960メートルである。また、青蔵鉄道は崑崙(クンルン)山脈、唐古拉(タングラ)山脈、念青唐古拉(ニェンチェンタングラ)山脈の青海・チベット高原の三大山脈を乗り越える。見渡す限りはてしなく続くゴビ砂漠と、白雪をいただいた雪山、広々とした草原が、この鉄道で結びつくのだ。

 「野生動物のパラダイス」と呼ばれる可可西里(ホフシル)自然保護区と羌塘自然保護区、揚子江や黄河などの水源地である「三江源」自然保護区の美しい景色を見ることができるだろう。青い空と白い雲、牛や羊が放牧されている草原には、ヤクやチベットカモシカ、チベット野ロバ、モウコガゼル(野ヒツジ)などの希少野生動物も、この目で見ることができるだろう。

 登山ファンが憧れる玉珠峰は、雪をいただき崑崙山口(クンルン峠)にそびえている。チベット自治区安多(アムド)県のチベット北部高原にある錯那(ツォナ)湖は「神湖」とも呼ばれ、水も空も青一色の美しさである。

 2年前から始まった青蔵鉄道プロジェクトは順調に進んでおり、鉄路の総設計がほぼ完成した。重点や難点と見られる31項目の工事は、21項目が基本的に完成した。完成した工事はすべて合格し、その優良率も90%に達している。

 青蔵鉄道建設指揮部の総指揮長で、青蔵鉄道の運営管理をまかされる青蔵鉄路公司の総経理・盧春房さんによれば、青蔵鉄道の開通初期は、貨物輸送列車を一日4本走らせることしかできず、一日の輸送量もわずか200トンしかないと予測する。彼らは倉庫保管や包装など新しい物流方式をいかして、鉄路の運営効果を高める計画である。

 建設された鉄道はメンテナンス不要で、無人コントロールが実現できるため、将来運営にかかわる社員は400人でじゅうぶんだ。平均して1人1キロ弱、全国平均の20人1キロよりずっと効率が高く、運営コストも大いに節約できる。また、将来青蔵鉄道での貨物輸送量は多くはないが、人の輸送、とくに観光客の輸送量は大きいと、盧さんは予測する。

 チベット自治区の資料によると、近年、同自治区への観光客数は、毎年10%以上増えており、2002年は29%増加した。2007年に青蔵鉄道が開通すると、鉄道の乗客輸送量が毎年のべ90万人に達すると予想される。

 青蔵鉄道が開通すれば、乗客と市場のニーズに応じて、2〜4本の高級観光列車を走らせる。列車のハード面は全国一流である。全閉鎖型列車には、増圧と増酸素の設備が施され、車内の環境を平地と同じように調節できる。完備された医療サービスとハイクラスの飲食物が提供でき、民族色の濃いパフォーマンスやカラオケなどの娯楽イベントも考えられている。

 青蔵鉄路公司は、鉄道沿いの観光スポットに観光施設を整えていく計画だ。乗客の観光や写真撮影に便宜を図るために、列車が観光スポットを通るときには、一時停車する予定。

 神秘的な青海・チベット高原は、長年にわたり、世界中の観光客引きつけている。2002年にチベット自治区を訪れた観光客はのべ85万人に達した。しかし、チベット自治区に出入りするためには、輸送量が限られ、運賃の高い飛行機に搭乗しなければならなかった。「外国へ行くより、チベットへ行くほうが難しい」という説もある。

 しかし、西北シルクロードとチベットのポタラ宮を結びつけた青蔵鉄道が開通すれば、必ずや新しい観光ゴールデンコースになるだろう。(資料は『新華毎日電訊』より)

                          2003年11月19日