上海に紡績産業ハイテク団地を建設へ


 上海市は紡績・アパレル業界のハイテク力を高めて熾烈化する国際競争を生き抜くため、状況にすばやく対応できる能力を備え、製品の研究開発・デザイン・貿易サービスを一体化させた紡績産業ハイテク団地を建設する。

 同市発展改革委員会が計画を立案し、国家紡績製品開発センターと東華大学、海天軽紡績グループなどの主力企業が共同で建設していく。団地内に運営センターや研究開発センターを設置するよう関連企業500社に呼びかける計画で、2007年に完成の予定。

 国家紡績製品開発センターの孫瑞哲主任は「小売業や衣料品・服地・繊維メーカーなどがもつ優位性のある資源を統合して、すべての段階を集約し、状況にすばやく対応できる能力を備えた団地にしていく。対応システムの構築は、紡績業の発展に大きな影響を与えるだろう」と強調する。

 紡績製品では中国は世界最大の生産・輸出国。輸出額は2003年に800億ドルに達したものの、競争力は依然として原材料や労働力など低コストの強みに依存している。中・低級製品の占める割合が高い一方で、高付加価値製品の割合は低く、輸出製品の価格はフランスやイタリアの4分の1に過ぎない。孫主任は「グローバルな生産・供給の枠組みのなかでより有利な地位を築くには、メーカーが構造調整を積極的に進めて産業をグレードアップすることが必要で、すばやい対応システムを構築することが焦眉の急となっている」と指摘。ファッションの時代性、個性化で製品の流行周期は短縮され、対応システムの構築が世界の潮流となっている。米国では、小売最大手のウォルマートはコンピューターシステムを「Lee」ブランドメーカーと接続し、顧客がウォルマートでオーダーメイドした場合、3日以内に商品を届けている。こうしたすばやい対応は今の中国ではできない。

 一方、業界が依存している原材料や労働力コスト面での強みはインド、パキスタン、ベトナムなどの挑戦にさらされている。これについて孫主任は「中国の紡績・衣料品の輸出は完全に輸入する企業の市場ネットワークやブランドに依存し、分散化合型に属している。外国のバイヤーが一旦、原材料や労働力コストがより廉価な国や地域に目を向けるようになれば、中国企業は対応能力が脆弱であるため重大な影響を受ける」と指摘。

 さらに孫主任は「上海に紡績産業ハイテク団地を建設する目的は、状況にすばやく対応するシステムを構築し、世界のバイヤーやファッションブランドに『一括的』なサービスを提供することで、中国の紡績業の付加価値と競争力を高め、紡績の大国から強国への転換を実現するにあると」と強調する。

 同団地は今後、流行動向の研究や公表、品質基準や検査サービス、製品開発の協力や貿易の推進を一体化した紡績研究開発センターをめざしていく。また上・下流企業が緊密に協力することで、すばやい対応能力を有する知識集約型団地に育成し、徐々に技術革新・情報交流・貿易の中心にしていく方針。5年以内に年間売上高20億ドルを達成するのが目標だ。

                    「チャイナネット」 2004年3月29日