河南省、陶磁器窯跡を世界文化遺産に登録申請へ


 河南省文物局は省内に残る古代陶磁器窯跡をユネスコの世界文化遺産に登録申請すると発表した。対象となるのは、宝豊清凉寺汝官窯跡と禹州鈞台鈞窯跡、鞏義黄冶唐三彩窯跡の3カ所。

 同文物局の常倹傳局長は「申請予定の3カ所は中国史上著名な古代陶磁器の窯跡であり、全国重要文化財にも指定されているほか、いずれもその年度の10大考古学発見の1つに数えられている」と説明する。

 専門家によると、宝豊清凉寺で発見された窯跡は汝官窯のものと断定され、窯跡からはこれまでにない希少な形状のものなど精美な磁器のサンプルが大量に見つかり、焼成年代を確定するうえで貴重な資料になるという。汝官窯は宋代初めに制作が始まり、元代末まで続いたとされる。北宋後期の数十年間は宮廷御用達の青磁器で海外にその名を馳せたが、僅か20年で戦乱のなかに姿を消してしまう。焼成期間が短いため技法は伝えられておらず、後世に残る作品も極めて少ない。現在、汝官窯の磁器は70点余りしかなく、世界各地の著名な博物館に収蔵されている。

 禹州で鈞窯跡が発見されたことで、鈞窯の焼成時間と発展過程がほぼ明らかになった。北宋の工匠は唐代の文様磁器の製法を土台に、窯に入れる前は1色だが、窯のなかで様々な色彩に変化する「銅紅釉」を創出。これにより青と白だけだった磁器は色合い豊かなものへと変化していく。北宋・徽宗の時代、宮廷用の磁器を焼成するため禹州の鈞台付近に官窯が設置され、その地名から窯は「鈞窯」、磁器は「鈞磁」と呼ばれるようになった。皇帝は年間36点焼成するよう命じるとともに、民間の収蔵を禁じたといわれる。

 1970年代に鞏義黄冶で唐代青磁器の窯跡が見つかり、唐三彩の生産地をめぐる学術上の懸案が解決された。省文物考古研究所の孫新民所長によると、唐三彩の窯跡が発見されたのは鞏義黄冶が全国で初めて。

                     「チャイナネット」 2004年4月2日