農業部、「保護型耕作」の普及に3000万元投入


 北方地区ではまもなく春の農繁期を迎えるが、農業部はこのほど、北方の干ばつ地帯にある穀物生産地の34カ所を新たに「保護型耕作」モデル県に指定し、3000万元を投入すると発表した。今回の指定でモデル県は現在の60から94に増え、総面積は約25万ヘクタールに達し、耕作技術普及ネットワークは一段と拡大することになる。

 "農業耕作制度の革命"と呼ばれる「保護型耕作」とは、農地を耕すのを省くまたは耕す回数を減らすとともに、農作物の茎で地表を覆う先進的な農業耕作技術のこと。現在、干ばつや半干ばつ地帯での農業や牧草の栽培に応用されており、土壌の風食や水食の減少、肥沃性の向上、農地の砂ぼこりの抑制、農業生産コストの低減、農民の収入増などで効果を上げている。

 農業部農業機械化管理司の王智才司長によると、2002年に保護型耕作モデル推進プロジェクトに着手して以降、これまでに北京や河北、内蒙古、遼寧、寧夏、新疆など北方の13の省・自治区・直轄市の60カ所がモデル県に指定された。中央政府の投入資金は5000万元、各地方政府が拠出した関連資金は2668元。提供された耕作機具は7700台(組)、その他の関連機具は6161台(組)。モデル面積は約13万3000ヘクタール。プロジェクトの実施で2658万元の増収が実現したほか、生産コストが大幅に低下して農民の収入増が促された。中国農業大学保護型耕作研究センターが10のモデル県を対象に昨年実施した調査で、トウモロコシが4.1%、小麦7.3%、雑穀11.2%、大豆が32%の増産となり、収益は一期作地帯で15分の1ヘクタール当たり15元以上、二期作地帯では同63元以上となったほか、農地の砂ぼこりも50%以上減少したことが明らかになった。

 王智才司長は「地域別に見ると、穀物生産地の大半は北方の干ばつ地区に集中しているが、水不足が深刻で、土壌の風食や水食も悪化するなど農地は劣化している。このため、これらの地区では保護型耕作の推進を速めており、土壌と湿度の保持、肥沃性の向上、水・土砂流失の減少にも取り組み、節水して干ばつを克服し、穀物の生産能力を保護・強化することで生産の回復、発展をめざしている」と話している。

 農業部は今後、黄土高原や東北地方、華北・西北地区の自然条件の良くない7カ所にモデル県を中心に技術革新モデル地区を設置する計画。

                  「チャイナネット」 2004/04/21