上海市、「節エネ型都市」に向け一連の対策を制定


 上海市はこのほど「節エネ型都市」をめざす一連の対策を打ち出した。

 同市は国内でもエネルギーの消費量が最も多く、エネルギーの市外への依存度も最も高い都市の1つ。1990年から2003年にかけて、経済成長に伴いエネルギー、なかでも標準炭の消費量は3191万トンから6700万トンと大幅に伸び、石油や天然ガスも含めたエネルギーはすべて市外から調達している。電力需給もこの数年来かなりひっ迫しており、電力不足は今年の夏には400万キロワットに達してより深刻になると予想される。

 そのため市政府は、大型デパートやオフィスビル、ホテルなどの空調使用を制限することをすでに決定。気温が35℃を超えても空調温度は27℃以下にしてはならないと規定するとともに、空調は電力使用のピーク時間前に運転させるよう求めている。この措置だけで電力負荷は10万キロワット以上低減できるという。同時に、市政府は国が推奨する家庭用空調の節エネ基準を率先して実行し、市民に合理的な使用を指導していく方針だ。

 また電力使用量がピークを迎える夏までには、市中心部の幹線道路にある街路灯を節エネ型の照明システムに切り替えるほか、管理機関が個別に光度調整を行い、通りの安全を確保することを前提に、出力パワーを低下させてピーク時の負荷を低減することにしている。道路両端に設置された装飾灯や建物のイルミネーション、ビル内の照明灯についても節エネ型電灯を採用する計画。上海の著名なテレビタワー「東洋の真珠」に取り付けた大小様々な球体上の発光団も、すべて節エネ型に"衣更え"済み。同様の照明効果で従来の光源より90%以上の節電が可能という。

 省エネ運動は市政府機関が先頭する形で進んでおり、制度化が一段と定着されてきた。また市政府は今、コンピューターやテレビ、各種充電器具の不使用時のオン状態、オンにした後のスタンバイによるエネルギーの消耗を削減する◆無人の部屋での空調の入れっ放しや照明器具の点けっ放しをなくす◆市政府調達のエネルギー関連設備や器具については、高効率の節エネ型製品を選択する◆主要政府機関の通年の電力使用量を昨年比で5%以上減少させる――などを盛り込んだ、政府機関事務室節電管理制度、事務室節エネ担当者責任制度、建物節エネ監督検査制度を策定中。

 1次エネルギーの利用を節減すると同時に、地の利を生かした再生可能なエネルギーの開発、利用も上海市にとって持続可能な発展戦略を実施するうえで重要なステップとなる。昨年末、奉賢海浜地区に4台の風力発電機と1台の太陽エネルギー発電システムが設置された。すでに「グリーン電力」の発電も始まっている。

                    「チャイナネット」 2004/04/22