『中国の就職状況と政策』白書発表


 前書き

 就職は民生の元であり、人びとが生活を改善する基本的前提と基本的手段である。

 中国は13億近くの人口を擁し、世界で人口の最も多い国である。中国の就職問題解決は任務が重く、困難で、かつ緊迫している。

 中国政府は億万人民の根本的利益から出発し、就職問題を高度に重視している。中国政府は「中華人民共和国憲法」および「中華人民共和国労働法」などの法律・法規に基づいて、勤労者の就職権利を保障し、各種の政策・措置をとって就職を積極的に促進し、勤労者の就職需要をたえず満たしている。

 中国政府は国情を踏まえ、実践と模索を通じ、また国際経験を参考にして、一連の積極的な就職政策を制定、実施している。現在、中国では市場を方向とする就職メカニズムが構築され、計画経済期に生じた企業余剰従業員問題が基本的に解決され、経済発展と経済構造調整の中で就職の規模がたえず拡大され、就職構造がちくじ最適化し、就職ルートがたえず広くなり、就職形式がいっそう弾力的になり、総体的に見て、就職情勢の基本的安定が保たれている。

 相互尊重、平等互恵の原則にのっとって、中国政府は積極的に国際労働事務に参加している。中国は「最低年齢条約」、「最悪の形態の児童労働条約」(最悪の形態の児童労働の禁止と撤廃を確保する即時の効果的な措置を求める条約)、「同一報酬条約」(同一価値の労働についての男女労働者に対する同一の給与及び給付を求める条約)、「就職政策公約」などの国際労働条約を認可した。労働就職の分野では、中国は国際労働機関 (ILO)、国連開発計画(UNDP)、世界銀行、アジア開発銀行(ADB)など多くの国際機構および多くの国とすこぶる成果のある交流と協力を行っている。

 一、就職の基本的状況

 中国では、労働適齢期の人口が多く、国民の教育レベルがわりに低いため、就職の矛盾は非常に際立っており、それは主に労働力の需給総量の矛盾と就職構造性の矛盾が共存し、都市部の就職圧力の増大と農村余剰労働力の非農業分野への移動加速が同時に現れ、新規増加労働力の就職と失業者の再就職問題が互いに絡みあっていることに表れている。

 人口と労働力

 2003年、中国の人口総数は12億9200万人(香港特別行政区、澳門特別行政区、台湾省を除く)に達した。16歳以上の人口は9億9889万人で、そのうち、都市部は4億2375万人、農村部は5億7514万人であり、経済活動を行う人口は7億6075万人で、労働力の経済活動参与率は76.2%である。16歳以上の人口の中で、中学校以上の学歴をもつ人は61.7%、高等専門学校以上の学歴をもつ人は6.6%を占めている。技術労働者の中で、初級は61.5%、中級は35%、高級は3.5%をそれぞれ占めている。

 就職総量

 2003年、中国の都市と農村の就業者数は7億4432万人に達し、そのうち、都市部は34.4%を占める2億5639万人で、農村部は65.6%を占める4億8793万人である。1990年から2003年にかけて、就業者は合計9683万人増加し、年平均745万人増加した。

 就業構造

 第一、二、三次産業の就業構造から見て、1990年から2003年にかけて、第三次産業の就業者の占める比重は18.5%から29.3%へと着実な増加を見せ、人数は2億1809万人に達した。第二次産業の就業者の占める比重は21.6%を保ち、人数は1億6077万人に達した。第一次産業の就業者の占める比重は60.1%から49.1%に下がり、人数は3億6546万人である。都市部と農村部の就業構造から見て、1990年から2003年にかけて、農村部の就業者の占める比重は73.7%から65.6%に下がった。経済要素別の就業構造から見ると、1990年から2003年にかけて、国有部門の就業者数は3470万人減の6876万人、都市部の個人経営と私営経済実体の就業者数は3596万人増の4267万人で、同期の都市部新規増加就業者数の46.5%を占めた。各種の外商投資と多種形式の経済、非全日制、臨時的、シーズン的、パートタイマーなどさまざまな就業形式が速やかに現れ、就職拡大の重要なルートとなっている。

 失業率

 ここ数年来、就職のプレッシャーが持続的に増大する状況の下で、中国政府はさまざまな措置を講じて、都市部の失業率の急激な上昇を抑えている。2003年末現在、都市部の登録失業率は4.3%で、失業人数は800万人であった。

 2004年、中国政府は就職と再就職の目標として、就職900万人、一時帰休者の再就職500万人を新規増加し、そのうち、就職が困難な人の再就職を100万人とし、都市部の登録失業率を4.7%前後に抑えることを確定した。

 都市・農村住民の収入

 経済の発展と就職機会の増加につれて、住民の収入はたえず増加している。1990年から2003年にかけて、都市部住民の1人当たり可処分所得は1510元から4.6倍増の8472元に増加し、実際に1.6倍伸びた。農村住民の1人当たり純収入は686元から2.8倍増の2622元に増加し、実際の伸び率は77%である。

 二、積極的な就職政策

 中国は積極的な就職政策を実行し、「勤労者が自主的に就職し、市場が就職を調節し、政府が就職を促進する」という就職方針を確定した。中国政府は、あくまで経済発展、経済構造調整、改革深化、都市・農村経済の協調的発展、社会保障体制整備を通じて就職を促進し、各種の効果的措置をとり、百方手を尽くして就職を増加し、就職の規模を拡大し、失業率を社会の耐えられる程度以内に抑えるように努めている。

 経済を発展させ、構造を調整し、積極的に就職ポストをつくり出す

 ――経済の発展を通じて就職を拡大する。中国政府は終始就職促進を国民経済と社会発展の戦略的任務とし、失業率の抑制と就職ポストの増加をマクロコントロールの主要な目標として国民経済と社会発展計画に組み入れ、あくまで内需拡大の方針を実行し、積極的な財政政策と穏健な通貨政策を実施し、国民経済の平穏でわりに速い発展を維持し、経済構造を積極的に調整し、就職に対する経済成長の推進力を高めている。

 ――第三次産業を発展させ、就職ルートを拡大する。中国政府はあくまでサービス業の発展を就職拡大の主要な方向とし、地域社会のサービス、飲食、物流、観光などの業種を発展させて、これら業種の就職ポストをより多く増加するのを奨励する。2002年、中国政府は、第三次産業を大いに発展させ、在来のサービス業分野の就職ルートを開拓し、観光業などを発展させて就職ポストを増やす扶助政策を制定し、重点を地域社会の公益的就職ポストを開発し、一時帰休者とその他の就職が困難な人たちの再就職を援助、促進することに置いている。

 ――多種所有制経済を発展させて、就職ルートを拡大するのを奨励する。中国政府は労働力資源の強みを発揮することを重視し、強みがあり、市場が必要とする労働集約型産業と企業、特に就職容量の大きい私営と個人経営企業および中小企業の発展に力を入れ、吸収した労働力は都市部の就職増加人数の約80%を占めた。2002年8月、中国は「中小企業促進法」を公布し、中小企業の発展をいっそう規範化させ、推進した。

 ――多様な就職形式を発展させ、就職ルートを増加する。中国政府は勤労者が多様な方式で就職を実現するのを奨励し、労務派遣機構と就職基地を積極的に発展させ、多様な就職にサービスと援助を提供している。政府は、非全日制雇用、臨時就職者医療保険などに関する政策を制定し、労働関係、賃金支給、社会保険などの関連制度を確立し、多様な方式で就職した人の合法的権益を保障している。

 公共就職サービス・システムを整備し、労働力市場を育成し、発展させる

 ――市場を方向とする就職メカニズムを構築する。中国政府は労働力市場を積極的に育成し、発展させ、企業を労働力市場の雇用主体とし、勤労者を供給主体とする地位をちくじ確立した。同時に、社会保障制度、住宅制度、戸籍制度などの改革を調整、推進して、労働力市場発展の客観的な環境が明らかに改善され、市場メカニズムが労働力資源配置の中で基礎的な役割を果たしている。

 ――公共就職サービスシステムを発展させ、整備する。1990年代後半以来、中国政府は労働力市場の科学化・規範化・現代化建設、公共就職サービス制度の確立に大いに力を入れている。現在、大中都市および一部の条件が整った小都市では、市と区で公共職業紹介所を窓口とする総合的サービス施設が広く設立され、地区クラス以上の都市では、地域社会に労働保障施設がほぼ設立され、末端の就職サービス組織ネットワークが整備した。全国の100近くの大中都市では、労働力市場情報ネットワークがつくられ、市と区の就職サービス機構間のコンピューターによる情報ネットワーク化が実現され、一部の都市では、情報ネットワークがすでに地域社会に接続している。全国の89の大中都市は四半期ごとに労働力市場の職業需給に関する分析情報を発表し、労働力資源の合理的配置と職業訓練事業の発展を促進する面で指導の役割を果たした。政府はまた民間職業紹介所の発展を奨励し、規範化させている。2003年末現在、全国に各種の職業紹介所が合計2万6000カ所あり、そのうち各クラスの労働と社会保障部門の運営する公共職業紹介所が1万8000カ所ある。公共職業紹介所は毎年延べ2000万人に就職サービスを提供し、延べ1000万人を就職させている。

 ――失業保険制度を整備する。1980年代の半ばに、中国は失業保険制度を確立し、失業者による失業救済と失業医療補助金を提供し、失業者を管理し、サービスを提供し、失業保険に就職と再就職促進の役割を果たさせている。1999年1月、中国政府は「失業保険条例」を公布し、失業保険制度をいちだんと整備した。労働と社会保障部の統計によれば、2003年の全国の失業保険基金の収入は249億元、支出は200億元で、繰り越し残額は304億元である。2003年末現在、全国の失業保険加入者数は1億373万人、年末の失業保険金受領者数は415万人に達した。

 一時帰休者の再就職を促進する

 中国が長期にわたり労働力の供給が過剰するという背景の下で、経済構造の不断調整につれて、在来産業の従業員の多くが一時帰休し、1998年から2003年までの国有企業の一時帰休者は合計2818万人に達した。ここ数年来、中国政府は一連の一時帰休者再就職促進政策を打ち出し、就職ポストを大いに開発し、再就職サービスを着実に提供し、再就職資金の投入を増加し、再就職のための技能訓練を強化し、一時帰休者が就職観念を転換するように積極的に導いている。1998年から2003年にかけて、中央財政は、国有企業の一時帰休者のために基本的生活保障と再就職資金を731億元支出した。2003年に、全国の各クラス政府の共同努力を経て、440万人の一時帰休者が再就職したが、その中に男性は満50歳以上、女性は満40歳以上の就職が困難な人が120万人いる。

 ――再就職サービスセンターを設立する。中国政府は各方面の力を動員して一時帰休者を抱える国有企業で再就職サービスセンターを設立し、一時帰休者に基本的生活保障を提供し、彼らに代わって養老、医療などの社会保険料を納付し、また就職指導を1回、就職情報サービスを3回、無料の職業訓練を1回提供している。

 ――税金・費用減免と小額担保貸付けの扶助政策を実行する。一時帰休者が自分で職を探し、個人経営に従事する場合、関係税金・費用の徴収を3年間免除する。自分で職を探し、自主的に創業する一時帰休者に小額担保貸付けを提供し、政府が担保基金を設け、財政から利息補助金を提供する。

 ――社会保険補助金と税金減免政策を実行する。ポストを増やして国有企業の一時帰休者を雇用する各種のサービス型企業と商業貿易企業に対し、政府が社会保険補助金を提供する。企業が一時帰休者を多く雇用するのを奨励するため、その年にポストを増やして新規雇用した人の中に一時帰休者が30%以上に達したサービス型企業、商業貿易企業、労働就職サービス企業の中の加工型小企業および地域社会の小型加工企業に対し、税金を3年間減免する。

 ――再就職援助を通じて就職が困難な人を援助する。就職能力と就職意欲のある、男性は満50歳以上、女性は満40歳以上の就職が困難な一時帰休者を就職援助の主要な対象として、即時ポスト援助など多種の援助を提供する。政府が投資して開発した公益的ポストは優先的に就職が困難な高齢者を就職させる。地域社会の開発した公益的ポストは、もとの国有企業の就職が困難な高齢者を就職させ、政府は社会保険補助金とポスト補助金を支給する。

 ――国有大・中型企業の余剰従業員配置変えを奨励する。国有大・中型企業が主要業務と補助業務を分離し、補助業務の体制を転換して、余剰従業員を配置変えするのを奨励する。体制を転換した企業とその経営する経済実体が配置する余剰従業員が一定の割合に達した場合、企業所得税を3年間免除する。

 ――一時帰休者に対する就職サービスを強化する。各クラスの公共職業紹介所は、一時帰休者に求職登録、職業指導、職業紹介、社会保険関係移転などの「一括式」サービスを提供し、職業紹介と職業訓練を無料で行い、現代的情報ネットワークを利用して、一時帰休者に就職情報をすかさず的確に提供する。自分で職を探し、自主的に創業する一時帰休者に対し、条件のあるところは特別窓口を設けて、商工業登録、納税業務、労働保障事務代理など「一括式」サービスを提供する。一時帰休者の就職能力を高めるため、多段階、多形式の再就職訓練を行う。開業の条件をもつ人に対しては、創業訓練と開業指導を行い、プロジェクト・コンサルタント、追跡扶助などのサービスを提供し、先頭に立って創業する人を育て上げることによって、より多くの人が就職するように促進する。

 社会保障システムを整備し、労働関係の調和と安定を守る

 ――「三本の保障ライン」制度を確立する。1998年以来、中国政府は国有企業の一時帰休者の基本的生活保障、失業保険と都市部住民の最低生活保障を内容とする「三本の保障ライン」制度を確立した。一時帰休者を抱える国有企業で再就職サービスセンターを設立し、一時帰休者は同センターにいる間に最長3年間の基本的生活費を受け取ることができる。3年の期間が満了してセンターを出た後就職していない一時帰休者とその他の失業者は、失業保険に加入し、定額通りに保険料を納めた場合、規定によって最長2年間の失業保険金を受け取ることができる。都市部家庭の一人あたり所得が当地の最低生活保障基準より低い一時帰休者は、規定により都市部住民の最低生活保障基準を享受することができる。「三本の保障ライン」の設立を通じて、一時帰休者の生活保障、社会保障、再就職を緊密に結びつけている。

 ――社会保障サービスを強化する。中国政府は各種の措置をとって、企業・事業体に所属せず資金源が多元化し、保障制度が規範化し、管理サービスが社会化した社会保障システムの確立を積極的に模索している。1998年以来、一時帰休者の社会保険関係接続制度を制定し、一時帰休者の再就職を促進している。一時帰休者が企業を離れる時、それまでの社会保険料納付年限と個人口座は引き続き保留され、再就職後は養老保険に引き続き加入するとともに、規定通りに保険料を納めた人の前後の納付年限を合わせて計算する。非全日制、臨時、弾力的など多様な形式で就職した一時帰休者に対しては、その就職の特徴に適応する社会保険方法と労働管理制度を初歩的に制定した。

 ――新しいタイプの労働関係協調メカニズムを構築する。中国政府は「双方が自主的に協議し、政府が法によって協調する」という労働関係協調メカニズムの構築、労働契約を通じて労働関係を樹立する制度の確立を積極的に推進している。労働契約制度はすでに都市部の各種企業で広く実施されている。政府は、企業が従業員代表大会と労働組合の機能を絶えず強化し、従業員の民主参与制度を整備し、平等協議を通じて集団契約を締結する制度を積極的に模索、推進するのを奨励している。2003年末現在、全国で集団契約が63万5000件結ばれ、これらの契約は127万社の企業と8000余万人の従業員をカバーしている。そのうち、賃金に関する集団契約を結んだ企業は29万3000社で、これらの契約は3579万人の従業員をカバーしている。中国は自国の国情に合致する政府・労働組合・企業3者協調メカニズムの構築を全面的に始め、労働関係にかかわる重大な問題について交流、協調している。現在、全国の30の省・自治区・直轄市で、省クラスの3者労働関係協調会議制度が確立され、各クラスの3者協調機構が5062設立された。それと同時に、中国はまた労働紛争の調停・仲裁・法律訴訟制度を確立し、労働紛争を法によって処理する軌道にのせた。

 ――勤労者の就職権利を保障する。中国の法律は、勤労者の就職は、民族、人種、性別、宗教信仰の違いによって差別されないと規定している。中国の法律は、満16歳未満の未成年者の雇用を厳禁し、国は不法に少年工を使用し、少年工に仕事を紹介する行為を厳しく取り締まり、処分する。中国政府は法律執行監督にいっそう力を入れて、企業が法律・法規の平等就職に関する規定を真剣に実行するように督促し、労働力市場の各種差別行為を是正し、メディアに差別的な求人広告を掲載、放送するのを禁止している。同時に、勤労者の権利保護の意識と能力を高め、世論面で良好な雰囲気をつくり出し、勤労者が法律という武器を運用して自身の労働就職権益を守るのを支持、奨励している。中国政府は職業安全と衛生に関する国家基準、業種基準、地方基準をたえず整備し、1999年に職業安全衛生管理体系基準を公布し、その認証作業を全面的に繰り広げた。2003年、国務院は「労働災害保険条例」を公布し、2004年1月1日から施行し始めた。

 三、勤労者の資質を高める

 中国政府は、さまざまなルートを通じて、各種の教育と養成訓練事業を積極的に発展させ、学歴証明書と職業資格証明書をともに重視する制度を実行し、勤労者の就職能力、創業能力、職業変更適応能力を全面的に高めている。

 各類の教育事業を発展させる

 ――小中学教育を普及させる。2003年、全国の小学校適齢児童の就学率は98.6%に達し、中学校のおおざっぱな入学率は92.7%に達し、高校段階の学校(普通高校、職業高校、成人高校、普通中等専門学校、成人中等専門学校、技工学校を含む)は合計3万1900校あり、在校生は3241万人で、おおざっぱな入学率が43.8%に達した。そのうち、中等職業教育の学校(職業高校、普通中等専門学校、成人中等専門学校、技工学校を含む)は合計1万4800校あり、在校生は1254万人いる。

 ――高等教育と成人教育を発展させる。2003年、高等教育の全体的規模は1900万人に達し、高等教育のおおざっぱな入学率は17%である。2003年、全国の各種学校で行われた各種形式の成人非学歴教育の修了者数は延べ7436万人に達し、現在、各種の訓練を受けている人は5844万人おり、そのうち職業技術学校は年間に延べ7242万人を育成した。2003年、各クラスの各種の民営学校は合計7万校あり、在校生は1416万人に達した。

 職業訓練システムを確立する

 中国の職業訓練は、就職前訓練、転業訓練、見習い訓練、在職訓練が含まれ、初級、中級、高級の技師職業資格訓練とその他の適応性訓練などをカバーしている。国は、高等職業学校、高級技工学校、中等専門技術学校、技工学校、就職訓練センター、民間職業訓練機構、企業従業員訓練センターなどの職業訓練機構の発展を通じて、全方位、多段階の職業教育と訓練システムを確立し、都市部の新しく生まれた労働力、一時帰休者、農村から来た労働力と在職従業員の訓練を強化することに努めている。技工学校は技術労働者の養成を主とし、同時に各種の長・短期訓練を行う総合的職業訓練基地であり、就職訓練センターは新しく生まれた労働力と失業者を訓練する基地であり、実用技術と適応性の訓練を主とするものである。2003年末現在、全国に技工学校が3167校(そのうち274校の高級技工学校を含む)あり、在校生が191万人で、社会のために延べ220万人に各種の訓練を行った。就職訓練センターが3465カ所、民間訓練機構が1万7350カ所あり、年間に延べ1071万人を訓練した。

 ――就職前の訓練を強化する。中国は労働準備制度を全面的に実施し、新しく生まれた労働力の就職前訓練制度を制定、実行し、都市と農村をカバーする職業訓練ネットワークが形成され、都市部の新しく生まれた労働力のほとんどに労働準備訓練を受けさせ、農村の新しく生まれた労働力、特に非農業産業に従事するかあるいは都市部に移転する農村労働力を労働準備訓練の範疇にちくじ組み入れている。2003年、都市部の上級学校に進学できなかった126万人の中学校・高校卒業生は労働準備訓練に参加した。

 ――勤労者の技能訓練を強化する。2002年から、国は「職業訓練を強化し、就職能力を高める計画」と「高級技能人材訓練国家プロジェクト」を実施し始め、また「3年間で50万人の新技師を養成する計画」を実施し始め、全社会で技能振興行動を広く繰り広げ、技術技能勤労者、特に高級技能人材の育成を速め、勤労者全員の就職能力、勤務能力、職業転換能力を高めている。また新素材、新技術、新設備に関する訓練を重点的に繰り広げ、企業がさし迫って必要とする技術技能型、複合技能型の人材およびハイテクを発展させるのに必要な知識技能型の人材を養成している。2003年、各種のポスト技能訓練を受けた全国の企業従業員は延べ3400万人に達した。

 ――再就職訓練を強化する。中国政府は再就職訓練を一時帰休者の再就職を促進する通常制度として確立した。1998年から2000年にかけて、政府は「3年間1000万人再就職訓練計画」を実施し、3年間で合計1300万人の一時帰休者を訓練し、そのうち65%の人は再就職を実現した。経験を総括した上で、第2期の「3年間1000万人再就職訓練計画」を実施し、2001年から2003年にかけて、柔軟、多様な訓練形式で、合計1530万人の一時帰休者を再就職訓練に参加させた。1998年以来、全国の30都市で創業訓練が展開されている。訓練指導、政策諮問、追跡サービスを通じて、一時帰休者の個人経営と私営経済に従事するか小企業を創設する能力を確実に高めた。全国の各クラス労働組合の創設した職業訓練機構は、延べ360万人の一時帰休者を訓練した。2003年、全国で約28万人が創業訓練に参加し、そのうち約14万人が創業に成功したか自分で職を探した。

 ――遠隔訓練を発展させる。中国政府は情報ネットワーク技術と衛星によるデータ伝送技術を利用して、遠隔訓練を大いに発展させている。国は遠隔職業訓練の総体的計画の制定と実施を速め、社会化、開放式の訓練ネットワークをちくじ形成した。

 職業資格証明書制度を全面的に推進する

 中国は1994年に職業資格証明書制度を実施してから、職業資格証明書制度の法律・法規と作業システムを一応確立した。1999年、中国政府は社会全体で学歴証明書と職業資格証明書を同様に重視する制度を実行することを要求した。2000年、就業許可制度の枠組みが一応構築された。現在、中国では国の職業資格に対応する、初級、中級、高級の技工から技師、高級技師に至る5クラスの職業資格訓練システムが基本的に確立され、勤労者の生涯学習システムの重要な構成部分となっている。現在、全国に職業技能鑑定機構が8万余カ所あり、職業技能鑑定の評定要員が18万人おり、職業技能鑑定の平均合格率は84%で、延べ4500万人が職業資格証明書を獲得した。

 技能競技と技術名手表彰活動を展開する

 中国の職業技能競技は国、省、市の3クラスの競技がある。国家クラスの技能競技は一般には1年おきに行われる。同時に、政府、労働組合、企業の3者が緊密に協力して、業界と企業クラスの職業技能競技を繰り広げ、従業員の職業技能レベルを高めている。2003年、全国で技術訓練、技術競技に参加した従業員は1800余万人に達した。1995年から、国は毎年10人の「中華技能大賞」受賞者と100人の「全国技術名手」を選出、表彰した。

 四、農村労働力の就職

 農村人口は中国人口の大多数を占め、中国政府は農村の就職問題を高度に重視している。中国政府はあくまで大中小都市と町が協調的に発展する中国の特色をもつ都市化の道を歩み、都市と農村の経済と社会の発展を統一的に按配し、農業と農村の経済構造を調整し、農村の就職容量を拡大し、さまざまな措置をとって農村余剰労働力の非農業産業への移転を推進し、都市化の発展に不利な体制と政策の障害をちくじ取り除き、農村労働力の合理的かつ秩序立った流動を導いている。

 農業と農村の経済構造を調整する

 中国政府は農業と農村の経済構造を積極的に調整し、伝統的な栽培業以外の農業産業を大いに発展させ、農業の総合的開発を拡大し、農業の総合的効果を高めている。国は農業の産業化経営を大いに推し進め、農産物の加工、販売、貯蔵・運輸、鮮度保持などの産業を発展させ、農業の産業チェーンを延長している。また財政、納税、貸付などの面で優遇政策を実行し、一部の重点的な先導企業の発展加速を援助している。さらに農業サービス機構の刷新を奨励し、仲買人の隊列を育成し、農業の社会化サービスを全面的に発展させている。中国政府は郷鎮企業の発展を農村余剰労働力の就職を解決する重要な活路としている。20余年来、体制刷新、技術改造、配置最適化、産業のグレードアップを通じて、郷鎮企業の市場競争力をたえず高めてきた。現在、郷鎮企業はすでにかなりの規模と経済総量を持っており、農村経済を繁栄させ、農民の収入を増やす重要な力と農村の余剰労働力を就職させる主要なルートとなっている。2003年、全国の郷鎮企業の達成した生産額は3兆6686億元で、国内総生産の31.4%を占め、国民経済の重要な支柱となった。郷鎮企業は農村の余剰労働力を1億3600万人吸収したが、その人数は農村労働力の27.8%に相当する。

 農村労働力の合理的かつ秩序立った流動と就職を導く

 2003年、中国の農村労働力が郷以外のところに流動して就職する人数は9800万人を上回り、1990年の1500万人の6倍以上である。1990年代以降、都市へ行って働く農民の数は年平均500万人前後の規模で急増し、農村労働力移転の主要なルートとなっている。90年代以来、中国政府は都市へ行って働く農民労働者に対し、「公平に扱い、合理的に導き、管理を完全にし、サービスをよくする」という方針を実行し、都市へ行って就職する農民に対し指導とサービスを強化し、労務協業制度、就職サービス制度、重点的監督制度など効果的な管理・サービス制度を確立し、情報と方向誘導、管理とサービスの面で政府の機能を十分に発揮させている。これを踏まえて、公共就職サービス機構の建設を大いに強化し、労務雇用情報ネットワークを確立し、健全にし、雇用情報調査を展開するとともに、企業の求人情報をタイムリーに分析、発表している。また農村労働力の職業訓練を強化し、「2003年から2010年までの全国農民労働者訓練計画」を制定し、7年内に移動する予定の6000万の農村労働力に対し指導的訓練と職業技能訓練を行い、農民労働者の総体的資質と就職能力を高めるようにしている。中国政府は国民経済と社会発展の全局から出発し、積極的に措置をとって、都市へ行ってから、必要に応じて秩序立って流動、就職するよう農民を導いている。

 農民労働者の合法的権益を守る

 中国政府は都市へ行って働く農民に対する労働契約管理をちくじ健全にし、雇用部門は農民労働者を募集する場合、法に依って労働契約を締結し、部門と農民労働者の権利と義務を明確にしなければならない。労働力市場の整理と整頓を強化し、雇用部門、仲介機構に対する監督・検査にいっそう力を入れ、賃金支給、労働条件などに対する管理を強化し、農民労働者の権益を保障する面の法律執行状況を集中的に検査し、不法な職業紹介と偽りの求人情報をでっち上げて農民労働者を陥れる行為を厳しく取り調べ、処分し、農民労働者の合法的権益と労働力市場の秩序を効果的に守っている。農民労働者の社会保険を発展させる方途を積極的に模索し、広東、福建、北京など主要な労務輸入地区は社会保険の適用範囲を農民労働者にまで広げ、相応の政策と法規を制定して、農民労働者の公傷、医療、養老などの社会保険加入作業を積極的に展開している。

 農村労働力の開発と就職を試行する

 1991年以来、中国政府は一部の地区で農村労働力の開発と就職を試行し、自然、経済、社会などの条件が異なる状況の下で農村労働力の開発と就職の具体的な方途、実現方式、政策・措置を模索し、各種の就職方式とワンセットになる社会化サービス・システムと組織管理形態を構築し、都市と農村の就職を政府が統一的に按配、管理する政策、法規、マクロ規制方法を検討し、農村労働力の就職を促進している。現在、都市と農村の就職の統一的按配、帰郷創業、農村労働力の移動と訓練、西部開発による就職推進を主要な内容とする試行作業が、全国の26省・市の98県・市で掘り下げて行われている。

 五、女性、青年、身体障害者の就職

 中国政府は一貫して女性、青年、身体障害者の就職問題に非常に関心をよせ、それを高度に重視し、男女の平等な就職に法的保障を与え、積極的に優遇政策をとって身体障害者の就職を保護している。

 女性の平等な就職権利を保障する

 「中華人民共和国憲法」、「中華人民共和国労働法」、「中華人民共和国女性権益保障法」には、女性の就職権利の保障についていずれも専門の規定がある。国は女性が男性と平等な労働権利を享有することを保護し、就職の性別による差別を取り除き、男女の同一労働、同一報酬を実行し、女性従業員が月経期、妊娠期、出産期、哺乳期に、および職場で特殊な労働保護を受けるよう保障している。2001年5月、中国政府は「中国女性発展綱要(2001〜2010年)」を公布したが、その中で女性の就職促進の発展目標を確定している。経済の持続的、急速な成長および女性の就業に適する産業と業種の発展に従って、女性の就業人数はたえず増え、就業の分野は絶えず広くなる。中国の都市と農村の女性の就業人数は1990年の2億9100万人から2003年の3億3700万人に増えた。現在、都市部の機構の女性就業者は4156万人で、これら機構の就業者総数の38%を占めている。中国政府が経済体制改革と経済構造調整を推進する中で、女性の一時帰休者が一部現れた。女性、特に年齢の大きい女性の一時帰休者の再就職を援助するため、各クラスの政府は女性の就業に適する業種と分野を積極的に開発、拡大し、いっそう柔軟な就業形式を実行し、就職に対する要求の異なる女性に就職のチャンスを提供している。政府の公共職業紹介機構は無料で女性の一時帰休者に政策諮問、ポスト情報、職業指導、職業紹介などのサービスを提供し、女性の職業技能訓練を積極的に行っており、1998年から2003年にかけて、総数1336万人の女性一時帰休者のうち、972万人が創業と再就職を実現した。政府は婦人連合会が女性の創業と再就職活動を積極的に展開するのを支持し、1998年から2003年までの期間に、各クラスの婦人連合会は延べ580万人の女性の一時帰休者を訓練し、250万人の女性の再就職を直接援助した。政府は出産保険制度を確立し、出産保険料は企業が納め、従業員個人は納めなくてよいと規定し、女性の就職競争への平等参与のために良好な環境を作り出した。

 青年の就職を促進する

 中国の青年は人口が多く、毎年新たに成長する労働力は1000万にのぼり、青年の就職問題は日ましに際立っている。都市部の登録失業者のうち、35歳以下のものが約70%を占めている。社会全体の就職の圧力を緩和し、青年勤労者の技能の資質を高めるため、中国政府は上級学校に進学できない中学校と高校の卒業生に対し1年ないし3年の労働準備訓練を全面的に実行している。各種の中等職業学校は職業指導の必修科目を開設した。同時に、学生の十分な就職を促進することを目標として、職業指導、就職サービス、創業教育を大いに強化している。大学卒業生の就職を解決するため、中国政府は大学卒業生の就職を促進する若干の措置を講じているが、その主なものは市場を方向とし、政府がコントロールし、学校が推薦し、学生と雇用部門が双方向で選択する改革の方向を堅持し、大学卒業生が末端や困難な地区に行って働くことを励まし、都市の地域社会と農村の郷鎮の機構を充実させること、各種の企業・事業体、特に中小企業と民営企業・事業体が大学卒業生を雇用するのを奨励すること、大学卒業生の自主的創業と柔軟な就職を奨励し、彼らに納税面の優遇、小額貸付、創業訓練を提供すること、大学卒業生就職サービス情報ネットワークを確立し、健全にし、就職指導と就職サービスを立派に行うことなどがある。同時に、大学が市場のニーズに適応して専攻科目の構成と人材養成の構造を調整するように導いている。2003年、政府は高等職業学校卒業生の職業資格訓練プロジェクトを実施し、職業技能訓練の優れた資源を集中し、高等職業学校のまだ就職が決まっていない卒業生に訓練とサービスを提供し、これら卒業生の自主的就職のために条件をつくり出している。上海市などは青年見習い計画を実施し、政府が補償する、社会が援助する、企業が希望するという原則にのっとり、条件のある企業で大学卒業生の就職実習基地をつくり、まだ就職していない卒業生を実際に鍛えさせ、ポストにつく適応性を強めている。

 身体障害者の就職を援助する

 中国に現在、全国人口総数の約5%に相当する6000万人の身体障害者がおり、そのうち労働適齢層の人が2400万人いる。改革・開放以来、中国は身体障害者の就職を促進する面で、政府と社会に主導的役割を積極的に発揮させ、身体障害者が社会生活に平等に参与する良好な環境をつくるように努めている。中国の法律は、国は身体障害者の労働の権利を保障し、政府は身体障害者の労働と就業を統一的に按配し、身体障害者のために労働と就業の条件をつくると規定している。身体障害者の就業の合法的権益を保障するため、政府は監察と法律執行を強化し、雇用部門が法律・法規に違反して身体障害者の合法的権益を侵害する行為をすかさず発見し、是正している。中国は集中就業と分散就業結合の方針を実行し、優遇政策と扶助・保護措置をとり、多ルート、多段階、多形式で、身体障害者の就職を促進している。集中就業とは、国と社会が運営する身体障害者福祉企業、公傷医療機構、あんま医療機構とその他の福祉企業・事業体が身体障害者を集中的に就業させることである。政府は税金減免などの優遇政策を実行し、福祉企業を発展させて、より多くの身体障害者を就業させることを奨励している。分散就業とは、雇用部門が比例に基づいて身体障害者を就業させ、彼らのために適切な職種とポストを選んでやることで、規定した比例の要求に達しない場合、雇用部門は身体障害者就業保障金を納めなければならない。国はまたさまざまな優遇政策と扶助措置をとって都市と農村の身体障害の個人勤労者の就職を励まし、貧困扶助利子控除貸付を提供する方式で一定の労働能力をもつ貧しい身体障害者が自主的に創業し、収入を増やせるプロジェクトを発展させるのを援助している。同時に、政府と社会は身体障害者に対する就職サービスを積極的に展開し、身体障害者に無料で職業指導、職業紹介、職業訓練を提供している。2003年末現在、全国都市部の身体障害者の就業人数は403万1000人に達し、そのうち集中的に就業する人は109万1000人、分散して就業する人は123万6000人、個人で就業する人は170万4000人である。農村の身体障害者の就業人数は1685万2000人である。身体障害者の就業率は83.9%である。

 六、21世紀前期の就職展望

 21世紀の最初の20年に、中国はいくらかゆとりのある社会を全面的に建設する新しい時期に入る。中国政府は、人口の基数、人口の年齢構造、人口の移動および社会経済発展のプロセスなど諸々の要素の影響を受けて、21世紀の最初の20年間に中国は就職面で依然としてかなり大きな圧力に直面することをはっきり認識している。今後の20年に中国の16歳以上の人口は年平均550万人の規模で増加し、2020年になると、労働適齢人口総数は9億4000万人に達する。第10次5カ年計画期(2001年〜2005年)の労働適齢人口の増加が最も速く、年平均1360万人増加している。労働適齢人口が増加し続けると同時に、目下、1億5000万人にのぼる農村の余剰労働力は移動する必要があり、1100万人以上の一帰休者は再就職する必要がある。労働力需給総量の矛盾が先鋭化すると同時に、労働力の資質がポストの要求に適応しない構造的失業問題は日ましに突出している。

 21世紀の前期に、中国の就職問題解決にも多くの有利な条件が存在していることも見てとるべきである。これらの有利な条件は、中国政府は就職問題を高度に重視し、あくまで人を本として、全面的な、協調する、持続可能な発展観を樹立して、経済・社会と人の全面的な発展を促進し、就職問題をよりよく解決するために思想認識基礎を提供したこと、長年の模索と実践を経て、就職問題解決の大方針が決定され、方向が明確で、措置がワンセットになり、市場を方向とする就職メカニズムが初歩的に形成され、これらは就職問題を立派に解決するために政策とメカニズムの保障を提供していること、経済が持続的、快速、協調的、健全な発展を保ち、財政収入の増加がわりに速く、経済構造調整が順調に推し進められ、企業の経済収益が明らかに好転し、第三次産業の発展が速くなり、これらはかならず就職を力強く推進すること、あくまで西部大開発を推進し、東北地区などの旧工業基地を振興し、中部地区の興起を促進し、東部地区の発展加速を奨励する地区の協調的発展を促進する戦略の実施および都市化の加速は就職問題の解決に新しいチャンスをもたらすこと、就職促進諸政策のいちだんの実行と整備につれ、政策はいっそう大きな効果をあげ、就職と創業の環境はいちだんとよくなること、WTOに加盟し、対外貿易が絶えず増加して、中国経済は世界経済といっそう緊密につながり、就職問題の解決に良好な外部環境を提供することなどである。

 総体的目標

 21世紀の前期に、中国の就職問題解決の総体的目標は、いくらかゆとりのある社会を全面的に建設する総体的要求に基づいて、科学的な発展観を樹立し、実行に移し、人的資源の開発・利用に対する経済社会発展のニーズに適応し、広範な勤労者が労働に参与し、収入のレベルを高める願望を満たし、社会の就職がわりに十分になるように努め、失業率を社会の耐えうる範囲内に抑えること、経済発展と構造改善を通じて、多くの就職ポストを開発し、教育訓練の強化を通じて、勤労者の就職能力開発を促進して、中国の豊富な労働力資源を十分に開発し、合理的に利用すること、勤労者が自主的に職業を選び、自由に流動し、自主的に創業するいっそう良好な環境をつくり、安定した就職促進政策と制度を形成し、都市と農村が統一し、内外に開放し、平等に競争する、規範的で秩序立った労働力市場を健全にし、就職ルートが滞りなく通ずるように保つこと、社会失業率と平均失業周期を社会の耐えうる範囲内に抑え、労働能力と就職願望のある勤労者に平等な就職のチャンスを与えるかあるいは積極的に就職を準備する状態に置くことである。2020年になると、就業総量は8億4000万人に達し、失業率は社会が耐えうるレベルに抑えられる。大多数の人は就職のチャンスにめぐまれ、少数の失業者は基本的生活が保障されるとともに、就職の準備をし、社会は全体としてわりに十分な就業状態に置かれる。

 主要な措置

 ――経済のわりに速い成長を引き続き保ち、就職と再就職作業をいっそう際立つ位置に置く。内需拡大の方針を堅持し、国民経済の持続的な、快速の、健全な発展を保ち、就職拡大に強大な原動力を提供する。経済成長と産業調整政策を制定する時、就業のポストをつくり、就職を拡大する戦略的目標を突出させ、より多くの就職チャンスをつくることを重要な発展目標とし、国民経済と社会発展計画、産業政策、財政・税務政策、投資政策、金融・通貨政策などのマクロ経済政策を制定する面で積極的に具現し、国民経済の快速かつ健全な発展と十分な就職の促進という2つの目標を実現する。

 ――経済構造調整と就職構造改善を協調的に推し進め、就職容量を拡大する。産業構造、所有制構造、企業構造の調整にいっそう力を入れる。労働集約型産業の発展を重視し、労働力を就職させる面でその重要な役割をいっそう十分に果たさせる。第三次産業を今後の就職拡大の重点的方向とし、特にサービス業の社会的ニーズが大きく、発展の見通しが明るいという強みを利用して、その就職拡大の役割をいちだんと発揮させる。非公有制経済の発展を引き続き支持し、導いて、中小企業と多種所有制経済の発展を奨励する諸政策・措置をいちだんと貫徹、実行し、投融資、納税、技術サービス、市場開発、情報諮問、人員養成などの面で扶助にいっそう力を入れ、それらの企業が就職と再就職を促進する面でより大きな役割を果たすのを支持する。国有企業改革を引き続き深める中で、主要業務と補助業務の分離、補助業務の体制転換を実行することを通じて、余剰人員をほかのポストにつけ、国有企業改革、経済構造調整と就職構造調整を協調的に推進する。

 ――あくまで都市と農村の経済と社会を協調的に発展させ、都市と農村の就職を統一的に按配する。あくまで大中小都市と町を協調的に発展させ、中国の特色をもつ都市化の道を歩ませ、都市化の発展に不利な体制と政策の障害を取り除き、農民のためにより多くの就職チャンスをつくり出す。都市に行って就職する農民に対する制限的な規定を取り消し、都市と農村の労働力市場をちくじ統一し、指導と管理を強化し、都市と農村の勤労者が平等に就職する制度を形成する。法に依って農民労働者の合法的権益を守り、農村の余剰労働力の平穏かつ秩序立った移転を導く。郷鎮企業の改革と調整を推進し、県内の経済を大いに発展させ、農村の就職空間を積極的に開拓する。

 ――勤労者の自主的就職を主導とし、政府の法律制度を基礎とする市場就職メカニズムを構築し、それを完全なものにする。労働力資源配置の面で市場メカニズムに基礎的役割をいっそう十分に果たさせ、特に勤労者の自主的就職を主導とする新しい枠組みを形成する必要がある。雇用ニーズ多様化の形勢に順応し、柔軟で多様な就職形態を情勢に応じて有利に導いて推進し、創業の環境を改善し、個人の創業を奨励し、創業で就職を促進し、政府の公共就職サービス機構の建設を全面的に強化し、職業紹介、職業指導、職業訓練を強化し、優れた就職サービスを提供する。法制建設を強化し、政府の就職促進責任を明確にし、企業の雇用行為と労働力市場の秩序を規範化させ、勤労者の平等な就職権利の実現を保障する。労働力市場の育成と発展を速め、勤労者の自主的就職を主導とし、市場による就職調節を基礎とし、政府の就職促進を原動力とする就職メカニズムを構築する。

 ――教育レベルを高め、職業訓練を強化し、人的資源能力建設レベルを経済発展の要求に適応させる。各種の教育資源にその役割を十分に果たさせ、人的資源能力建設を強化し、力を入れて資質教育を推進し、実践能力の培養を重視し、教育の質的向上に努め、社会主義現代化建設のために数億にのぼる高資質の勤労者、数万にのぼる専門人材、数多くのすぐれたイノベーション人材を育成する。市場のニーズと勤労者の資質向上の要求に適応し、基礎教育を強化し、大学教育を積極的に発展させ、職業教育、成人教育、その他の継続教育を大いに発展させ、社会化した終身訓練・終身教育システムをちくじ形成する。経済発展と科学技術進歩が勤労者の知識レベルと労働技能に出したますます高くなる要求に適応し、職業教育構造をいちだんと調整し、投入を増やし、現代職業教育システムを確立し、技術労働者、特に高級技術労働者と技師の育成を大いに強化する。農村の経済構造調整と農村の余剰労働力移転の要求に適応し、農民の基礎教育と各種専門技能訓練を重視する。労働準備制度と就業許可制度を全面的に推進し、青年勤労者の就業能力増強と労働力供給の調節という2つの目標を実現する。職業資格証明書制度を確立し、それを完全なものにし、学歴証明書と職業資格証明書を同等に重視する制度を大いに推進し、社会で技術的職業の職種は残らず職業資格証明書制度を実行し、学校教育と社会就職の緊密な連結を実現する。

 ――社会保障と就職を合理的に按配し、困難を抱える人びとに基本的生活保障と就職援助を提供する。失業保険制度と都市住民最低生活保障制度をたえず整備することを通じて、困難を抱える人びとの基本的生活を確実に保障する。引き続き就職援助を大いに実施し、困難を抱える人びとの特徴に適する就業のポスト、特に公益の性格をおびる就業のポストを開発し、優遇政策で企業の従業員募集を奨励し、無料で就職サービスを提供するなどの政策と措置を通じて、困難を抱える人びとの再就職実現を促進する。

 ――対外開放レベルを高め、中国の労働力資源の強みを発揮する。強みを持つ労働集約型農産物の生産と加工に力を入れる。ハイテクを多く使用し、付加価値の高い工業製品の輸出をたえず増やすと同時に、労働集約型製品の輸出競争力と市場のシェアを高めることに努め、これによって国内の就職のためのポストを保ち、増やす。外国業者が労働集約型製品あるいは労働集約型と資本集約型が結合する産業に投資するように合理的に導き、就職のためのポストをできるだけ多く増やす。「世界に進出する」戦略を積極的に実施し、国際労働力市場を開拓することに努める。

 中華人民共和国国務院報道弁公室   2004年北京にて

                        「チャイナネット」 2004年4月26日