アジア道路ネットワークの建設への
取り組みが正式にスタート


 アジア・太平洋経済社会委員会(ESCAP)第60回会議の最も実質的な意義のある成果の一つとして、『アジア道路ネットワークに関する政府間取り決め』が4月26日の夜上海で正式に調印された。これによってアジア・太平洋地域の共同繁栄を実現するための征途への取り組みが正式にスタートした。

 グローバルな経済一体化の過程がたえず進展を遂げており、さまざまな区域的経済協力についての要請が日増しに高まる情勢の下で、国連アジア・太平洋経済社会委員会が発起したアジア道路ネットワーク建設は疑いなく、世界とアジア地域の経済・社会発展の法則に順応したものであり、必ずこの最も潜在力を持つ地域が速やかに世界経済センターの一つになるのを促すことになろう。

 アナン国連事務総長は『アジア道路ネットワークに関する政府間取り決め』の調印のために祝辞を送ってきた。事務総長は祝辞の中で、長期にわたって、アジアの人々はずっと一つの夢を持ち続けており、それは便利でスピーディーな交通ネットワークを通じて各国を互いに交流し合い、ともに繁栄するトータルなものとして結び付けることへの願いであり、この『取り決め』の調印はこの夢を実現するためのものであるとし、さらに次のように語った。

 一つの新しい事物として、アジア道路ネットワークの考えは45年にわたって温められてきた。自然地理そして人種、人文の角度からしても、アジア・太平洋地域はいずれも世界で最も多様性と複雑性を持つ地域である。アジア道路ネットワークの建設はさまざまな相違点を乗り越え、複雑な矛盾と紛争をなくし、一種の斬新な理念として広範なアジア・太平洋地域の人々に受け入れられ、多層的な意義を提示することになった。『取り決め』の調印は何よりもまず、アジア・太平洋地域の各国の協力・発展の理念が実質的な飛躍をとげ、協力を強化しさえすれば競争力と経済の活力を高め、グローバル化によってもたらされたチャレンジによりよく対処できるとの認識を示し、アジア道路ネットワークはとりもなおさず、アジア・太平洋諸国が未来のチャレンジに対処する共同の対策である。二、ながい伝統とさまざまな慣習を持つアジア・太平洋諸国は対外開放の分野で新しい重要な表れが見られ、アジア道路ネットワークによる多次元の交流を通じて、思想・理念の交流と開放を実現し、伝統的社会と現代世界とをさらに近付け、各国間の伝統的友情をさらに打ち固め、深化させることの可能性を認識したことを示している。

 張春賢中国交通部部長は中国政府を代表して、正式に『アジア道路ネットワークに関する政府間取り決め』に調印した。張部長は次のように語った。アジア道路ネットワークはまだ関係諸国とその他の地域の人たちにはよく知られていないかも知れないが、人々がますます頻繁に「AH」を標識とするアジア・ハイウェーが自分たちの家の前を通り、一台また一台の中央アジア、南アジアから来た自動車が北東アジアへと向かい、東南アジアから来た貨物が遠くのイスタンブールとサンクト・ペテルブルグへと運ばれ、辺鄙な内陸国家が隣国の港に直通できることを目にするたびに、アジア道路ネットワークの役割と意義を切実に体得することになろう。

 企画によると、アジア道路ネットワークは32カ国を結び付け、総延長は14万キロを超える。アジア道路ネットワークの形成は、中心地帯にある中国要素と切り離すことはできない。それはアジア道路ネットワークの約5分の1の区間が中国の領内にあり、多くの内陸国家が中国コースを通じてはじめて港に到達しうるばかりでなく、さらに25年にわたる改革開放と中国経済の持続的かつ急速な発展を経て、ますます多くの国に極めて大きなビジネス・チャンスをもたらし、特に周辺諸国にとって、中国要素はこれらの国々にとって欠くことのできない発展の原動力となっているからである。一部のアジア・太平洋国家は、もしも中国という大きな市場とリンクしないならば、アジア諸国間の経済貿易の往来を促進し、アジア地域の経済の発展を刺激することをとうてい語りえないとその考え方を明らかにしている。

                     「チャイナネット」 2004年4月28日