上海、「水中パンダ」の揚子江カワイルカ保護基地を建設


 長江における揚子江カワイルカの生存環境は如何?大型水利工事は揚子江カワイルカの幼魚群にどのような影響を与えているのか?

 先ごろ、揚子江カワイルカの生存環境及びその生物学的特性に関する八つの課題が、中国水産科学院の趙法箴院士がリードする専門家グループによって論証されたが、これによって上海市揚子江カワイルカ保護区を建設する業務が全面的に開始された。聞くところによれば、この揚子江カワイルカ資源に関する課題は1年以内に解答を見る計画である。

 揚子江カワイルカは「水中パンダ」とも別称されており、古代棘皮魚類の後裔で、白亜紀―――恐竜時代の遺留物で、約1.4億年の進化史を有している。その一生の殆どを海中で過ごすが、成魚になり繁殖能力を持つと長江の河口に至り、川底を数千キロも遡って産卵繁殖する。幼魚は河流に沿って泳ぎ下り、翌年の5月〜9月の間、長江河口の崇明東灘付近の水域で餌を捕って成長を待ち、同時に海に適応するための回遊活動を行う。

 専門家は、「長江河口の崇明東灘付近の海域は、揚子江カワイルカの世代交代の中で唯一の魚群が集中し、定住時間がもっとも長く、それに群れが被害を受けやすい場所なので、ここに揚子江カワイルカ自然保護区を建設すれば、大幅に揚子江カワイルカ幼魚の生存率を向上させられる」と認識している。聞くところでは、大型水利工事の建設により、揚子江カワイルカの産卵場所が以前の16ヵ所から1ヵ所だけに減ってしまい、回遊距離も元来の3000余kmから1800kmに短縮されてしまった。そのほか、漁労、水域汚染などの要素も揚子江カワイルカ資源の脅威となっている。去年7月、上海市は長江河口揚子江カワイルカ保護区設置を認可している。

 聞くところによれば、今年の計画投資額は1500万元で、崇明東灘257平方qの水域に揚子江カワイルカの保護、繁殖放流、国際的開放型科学研究、市民科学普及教育、リラクゼーション観光の四大機能を一体化する保護基地を建設し、年末或いは来年初頭に国家級自然保護区の申請報告を行う見込みである。

 上海は1988年には早くも崇明県裕安郷に「揚子江カワイルカ保護ステーション」を建設しており、1992年には再び崇明に「上海市揚子江カワイルカ緊急救助センター」を建設、去年年末までに、緊急救助、一時養殖、放流された揚子江カワイルカ幼魚数は4386匹に達している。

                            「チャイナネット」 2004/05/09