温暖化の影響を受け変動するわが国農業生産の分布と構成

 
 農業は気候変化にもっとも敏感な産業の一つである。1985年以降、わが国では全国規模の暖冬が18回も連続しており、全地球規模の気候温暖化に直面し、将来わが国農業の生産分布と構成に変動がもたらされる可能性が高い。

 中国気象局気候特別顧問である丁一匯教授によると、「気候変化のわが国農業に対する影響の研究結果は、年平均温度が1℃上がれば、10℃以上の温度蓄積の持続日数が全国平均約15日間延び、冬小麦の安全作付けの北限が、現在の長城ラインから瀋陽―張家口―包頭―ウルムチのラインまで北上する」とのことである。

 気候温暖化はわが国の作物作付け構成に大変化をもたらすことになる。丁一匯教授は、「計算に基づけば、2050年には気候温暖化によって三期作の北限が500km以上北に移り、長江流域から黄河流域にまで北上する。したがって、二期作地区も現在の一期作地区である中部まで北上し、一期作地区の面積は23.1%減少することになる」と語った。

 このほか気候温暖化の結果、わが国の主要作物品種の分布にも大きな変化が起きる。華北では現在普及している冬小麦が、冬季に十分な寒冷期がなく春季発芽のための低温が確保されないため、其の他の冬小麦品種(例えば半冬型)に取って代わられることになる。南方の主要作物である比較的高温耐性が強い水稲品種が、北方稲作地区に向かって発展する。東北地区のコーンの早熟品種は、徐々に中熟、晩熟品種にとって変わられることになる。

 丁一匯教授は、「気候温暖化により蒸発量が大きくなるので、降水量があまり増加しなければ、わが国の農牧交錯地帯は南に拡大し、東北地区と内蒙古が接する農牧交錯地帯は約70km、華北地区北部の農牧交錯地帯の限界は約150km、西北地区の農牧交錯地帯は約20km南下するであろう。農牧交錯地帯の南下は草原面積を拡大するが、農牧交錯地帯は潜在的砂漠化地区であり、新たな農牧交錯地帯を保護しなければ、砂漠化する可能性が高い」と指摘している。

                         「チャイナネット」 2004/05/13