アジア太平洋地域、貧困と食糧問題の解決が急務


 国連食糧農業機関の第27回アジア太平洋地域大会が17日北京で開幕しました。食糧農業機関の高官はこの会議の開幕式で、「アジア太平洋地域の各国が農業分野における協力を強化し、また、この地域の貧困と食糧安全問題の解決を急ぐべきだ」との考えを示しました。

 5日間にわたって開かれる国連食糧農業機関の第27回アジア・太平洋地域会議は高官会議と閣僚会議に分かれています。この会議の開催期間中、30あまりの加盟国の代表が、この地域の農業や農村の発展、それに直面している食糧安全などの議題について、討議や交流を行います。

 開幕式で挨拶に立った国連食糧農業機関の何昌垂・事務局長補佐は「ここ数年、アジア太平洋地域は農業分野で一連の重大な成果を遂げたが、食糧生産の進展や貧困人口減少のスピードが緩慢となり、農業生産の環境悪化などの問題を抱えている」と指摘し、また、食糧安全の問題について「食糧安全を解決する面で、その進展は2002年の世界食料サミットで決められた要求よりずっと遅れている。20世紀90年代、アジア太平洋地域内の栄養不良の人口が毎年680万人しか減っておらず、この速度は求められたものの半分にすぎない。そのため、そのスピーとを高めるため、現在われわれは毎年、1500万人の栄養不良人口を減らさなければならない。これはわれわれにとって困難な任務である」と話しました。

 話によりますと、アジア・太平洋地区は発展途上国が非常に多い地区で、また、全世界で飢饉と貧困を撲滅する重点地区となっています。この地域の貧困と栄養不良の農村人口は3億2000万人に達しており、世界全体の三分の二を占めています。それと同時に、この地域は面積が広くて、また、気候条件や自然資源、労働力資源に恵まれているから、各国が努力すれば食糧安全の問題を完全に解決することができると見られています。

 何昌垂事務局長補佐は、「食料農業機関はアジア・太平洋地域の特徴に基づき、域内各国が今後、協力を展開する上での6つの優先分野、つまり、農業構造の調整、災害の予防と減少、自然資源の持続可能な利用および稲生産の発展などを選定した。今大会に参加の代表は協力の可能性について充分に意見交換を行い、各々の提案を出してほしい」と述べました。

 会議に出席した中国農業省の張宝文次官は、中国の農業発展の情況を簡潔に紹介しました。張次官は「1978年以来、中国政府は土地の請負制、農業の対外開放および農村経済の市場化などの多くの改革措置を実施し、農業の発展において大きな成果を収め、世界の食糧安全保障に著しい貢献をしてきた」と語りました。

 張次官はまた(SE2)、「改革措置は、いずれも中国の農業生産能力を大きく促した。中国の食糧供給情況は、長期的な不足状況から脱出し、現在、総量がほぼバランスがとれ、豊作の年には、余剰さえ出るようになっている。農村経済の各方面はいずれも速い発展をとげ、中国の農民はより多くの収入を獲得し、その生活と福祉が改善された」と指摘しました。

 統計データによりますと、20世紀末まで、中国の総人口に占める貧困人口の割合は、20年余り前は25%でしたが、現在は3%を下回っています。中国は衣食の満ち足りる状態からいくらかゆとりのある社会への歴史的な転換を実現しました。

 張宝文次官は同時に、「現在、中国の農業発展では依然として、土地資源が少ないこと、国際競争力が弱いこと及び農民の収入が相対的に低いことなどの制約要素に直面している。今後、中国政府は引き続き農民の増収と食糧生産能力の向上に措置を講じていく。中国は国連食糧農業機関のアジア・太平洋地域総会を主催することにより、アジア・太平洋各国と稲生産をはじめとした農業分野の経験と成果を分かち合い、域内の農業発展の加速に向けての戦略的ルートを共に検討していくことを望む」と強調しました。

                             CRI 2004/5/18