チベットカモシカの安全移動に信号を設置へ


 6月中旬には、平均海抜4800メートルの山岳地帯を走る青海・チベット道路に臨時の信号設置をして、何千頭ものチベットカモシカを人間と同じように安全に移動させる―――。四川緑色江河環境保護促進会(緑色江河)のこんな構想が、国家環境保護局の認可を得て現実化されることになった。

 緑色江河の責任者である楊欣氏によると、青海・チベット道路沿いのソマル河の南10キロ範囲内がチベットカモシカの移動ルートになっているが、その90%が1キロ幅の狭い道路に押し寄せる。ボランティアは「車の流れが途絶えないため、チベットカモシカは渡ろうとせず、車にぶつかることも常にある」と指摘する。また青海・チベット鉄道の建設でも野生動物が移動できる道路が設けられているが、チベットカモシカはそれに適応せず、道路を通るケースは少ないという。

 緑色江河は今年3月末、ボランティアによる調査内容を国家環境保護局に報告するとともに、移動する区間に臨時の信号を設置し、道路や鉄道を渡るのを支援するルールや措置をボランティアに模索させるよう提起した。

 国の関係機関は調査報告を重視し、4月13日に「青海・チベット鉄道、道路を渡るチベットカモシカなど野生動物のための道路改善措置に関する座談会」を開催。座談会には国家環境保護局や国務院青海省・チベット自治区弁公室、鉄道部、交通部、国家林業局、西北絶滅危機動物研究所、青海・チベット鉄道総指揮部など関係機関から15名の専門家が出席した。専門家は「緑色江河は青海・チベット道路管理局と協調して、道路輸送の安全を確保することを前提に、今年の移動期間中、通行車両を停止させる措置を講じてチベットカモシカの群れが道路を円滑に渡られるようにすべきだ」と提案していた。

                          「チャイナネット」 2004年5月25日