「少林カンフー」を世界遺産へ 少林寺が申請準備


 「天下のカンフーは少林が源、少林カンフーは天下一」とは、中国人なら誰もが知っている言葉だ。しかし、「天下一」と言われ続けて1500年以上の「少林カンフー」という名称が、ルーツとなった河南省・洛陽市の少林寺から近く切り離される可能性が出てきた。少林寺の住職である釈永信氏は北京の記者会見で、「少林カンフー」と「少林武術」は現在、一部の国で商標登録が進んでおり、多くのケースがすでに通常の法的手段で覆せない状況になったと明らかにした。もし迅速に保護措置を取らなければ、「少林カンフー」は中国の専売特許ではなくなってしまうという。このため、少林寺は近年、世界遺産への登録準備を積極的に進めてきた。第28会世界遺産大会の開催前には関連部門に申請資料を提出する予定だ。

 近年来、釈氏は少林寺武僧団を率いて世界五大陸を往来し、「少林カンフーブーム」の湧き起こる国・地域が続出している。一方で、一部の国で「少林」や「少林カンフー」などの商標の登録を狙う動きが出ている。釈氏によると、少林寺がかつて商標専門の弁護士事務所に調査を依頼したところ、数十の国や地域で現在「少林カンフー」をめぐる商標登録が争われていることが分かった。米国や日本では、「少林カンフー」をめぐる商標が100項目を超える。少林カンフーという文化的なブランドが自由に奪い取られ、濫用されていることで、国際社会の少林カンフーに対する認識に混乱と誤解が生じ、少林カンフーがただの武術だと思われかねない状況だ。釈氏は、「少林カンフーは、少林寺の1500年にわたる歴代の高僧の智恵の結晶であり、中華民族の正義・向上心・愛国心・国民を愛する精神を体現している。少林カンフーの価値は、武術の方面を体現するだけではない。より重要なのは、内包される智恵や道徳という精神的なものだ。現代人の人格形成や精神発展にとって、少林カンフーは独特の価値があり、すでに各国の人々に広く評価されている」と話した。

 釈氏はまた、「少林カンフーは中華民族にとって文化的な『ブランド』であり、人に訴えかける影響力がある。『少林カンフー』という貴重な文化財の保護は、道義上当然のことだ」と語った。釈氏は、世界遺産への登録申請は少林カンフーの保護に役立つ措置だと考えている。

                      「人民網日本語版」 2004年6月3日