故宮大改修のため、全国に名工を求める


 社会の注目を集めている故宮大改修は新たな段階に入った。第一陣の作業員が午門大殿の柱表面の剥げ落ちた赤漆をきれいに取り除いてから、午門大殿など中軸線補修工事及び倦勤斎、延禧?などの重点修繕工事は正式に施工段階に入った。

 漆類塗料は伝統工芸特性塗料

 午門の周囲には、今、高々と足場が組まれている。2、30名の作業員が約1ヵ月かけて午門の外壁と柱の剥落した赤漆を取り除き、改めて漆喰で覆い塗料を塗っている。元来の姿を維持するために、今回使用している油性塗料は伝統工芸によって作られた特性塗料であり、この種の塗料の色彩は自然に近く、重厚で耐久性がある。

 全国に熟練名工を捜し求める

 今回に大改修で確定している原則は「原状回復、現状保全」である。しかし、建築物外部の修復と内部修復を行う場合に当時盛んであった工芸が、現在ではすでに伝えられておらず、これが故宮大改修の大難問となっている。この修繕段階と同時に開始された倦勤斎の改修工事は複雑な工事の一つである。

 倦勤斎は故宮建築群の中で最も豪華で、工芸が最も精緻な建築物である。倦勤斎などの建築物を元通りに修復するために、故宮は早くから古建築専門家で組織された訪問調査団を編成し、建築当時使用された伝統的材料、伝統的工芸を捜し求めて多くの省市を尋ねまわっている。故宮文物保護科学技術部の曹静楼主任は、「捜し求めるのに長い時間を費やしました。私達は内務府の歴史記録資料に基づいて、原材料の産地、職人の名前を探し出し、各地方に探しに行くことしかできないのですから」と語っている。倦勤斎についていえば「計画に基づいて、名工を捜索する」しか手がなく、四川、浙江、湖南、江蘇など多くの省を探し回り、ついに浙江省の東陽と四川省の江安で、長い間伝承が途絶えていた職人を探し出したのである。

 延禧宮に文物鑑定所を設立

 延禧宮は故宮修復の重点建築である。ここは故宮内唯一の西洋風建築で、西洋の「水晶宮」と称されている。今回の修繕は荷重を支える鉄柱の亀裂損壊部分を接着強化し、錆びによる侵蝕が激しいものは元来の規格に基づいて取り替える作業である。

 説明によると、かつてここは書画を保存するための倉庫として用いられた所で、修繕が終わった後は、書画展示館、陶器展示館が開設され、参観者に公開される予定である。同時に、故宮はここに文物検査鑑定センターを設ける計画で、文物を鑑定検査する場所を提供することになる。

 一部の宮殿を初公開

 現在、中軸線にある前三殿東西両側の弘義閣、内庫、体仁閣などの建築物の修繕方案はすでに策定されており、間もなく西側から先に着工する予定になっている。

 今回の修繕工事終了後、数多くの収蔵品が故宮の地下文物倉庫に運び込まれ、元来倉庫として使用されてきた宮殿が空になるので、参観客はさらに多くの未公開であった宮殿を見ることができるようになる。

                           「チャイナネット」 2004/06/07