急速に進む中国の高齢化 中国社会科学院


 中国の人口高齢化は、日本に続き世界的な速さで進行する―― 。中国社会科学院が7日に発表した「人口と労働――中国の人口と労働問題についての報告」は、高齢化問題について、次のように指摘している。

 先進国と異なり、中国の高齢化は、社会経済の基盤が比較的脆弱な段階で急速に進んでいく。これは小康社会(いくらかゆとりのある社会)の全面的な建設に対する、厳しい試練だ。

 中国人の場合、寿命を迎えるまでに過ごす「健康でない時期」は、1人平均8年間とされる。これは長期看護費用の激増を意味し、人口の急速かつ大規模な高齢化に伴い、高齢者の扶養と医療に要する家庭と社会への負担は急増するだろう。

 高齢者扶養の負担増は、社会全体の貯蓄額の減少を招き、ひいては社会全体の投資額を減少させる。これは国民経済の健全で調和のとれた高度発展の持続にも影響するだろう。

 現行の年金システムも歴史的な試練に直面せざるを得ない。年金システムの新旧移行のプロセスで、莫大な不足額が出るのは必至だ。さらに、年金は現在都市就業人口の44.9%、退職人口の85.4%をカバーしているに過ぎない。

 「社会も家庭も、高齢者扶養問題の潜在的危機に対する認識が不十分だ」と専門家は指摘する。国際経済から見ると、高齢化のピークを迎える20〜30年前に、家庭と社会のバランスが取れた、適切な高齢者扶養システムを確立しなければならない。十分な資本を蓄積し、高齢化のピーク期がもたらす経済成長と社会的安定への圧力に対処する必要がある。(編集NA)

                       「人民網日本語版」 2004年6月9日