社会科学院、『中国人口・労働問題報告』を出版へ


 中国社会科学院人口・労働問題研究所は7日、「人口・労働問題シンポジウム」を開き、各方面の専門家が現段階での人口と労働関係の問題などについて議論した。また『中国人口・労働問題報告』を間もなく出版することも明らかにした。編集主幹は人口・労働問題研究所の蔡ム教授。

 専門家はシンポジウムで「わが国はわずか20年余りで、一部の先進国が百年かけて完走してきた人口の転換を図る道を完走し、人口の再生産タイプを高出生、低死亡、高成長から低出生、低死亡、低成長に向けるという歴史的転換を実現して、低出産国への仲間入りを予定より早く達成した。人口転換過程での1つの規律として、また過去の人口・計画出産事業の1つの成果として、わが国は今後20年の間に人口年齢構成の"黄金時代"を迎え、いくらかゆとりのある社会の全面的な建設に向け最良のチャンスがもたらされるだろう」との意見が出された。

 一部の専門家は「戦略的角度から見れば、世界各国はいずれも人口の転換による総人口負担係数が下降する時代をとくに重視してきたが、そうしたチャンスは基本的に1回きりであり、瞬時に消失してしまうからだ」と指摘。

 また「今後20年の間、人口の転換がもたらすチャンスは一時的なものであり、そのためこのチャンスを逃すことなく、教育を通じて人的資源を開発することこそが、社会・経済の持続可能な発展にとって尽きることのない動力と源泉となる。現在、わが国は老齢化の開始段階にあり、また老年人口と若年人口が資源を"争奪する"局面にはない。この段階では、とくに教育の強化に注視することが肝要だ」との声も聞かれた。

 中国社会科学院編さんの『中国人口・労働問題報告』は今回の出版で5年連続となり、この間に人口学の研究分野は大幅に広がり、従来の「人口について人口を論ずる」姿勢を徐々に改めてその他の学科と融合させる傾向が見られるようになった。

 『報告』は、学齢人口の変動がもたらす影響、人口の流動が引き起こす教育問題、人口の老齢化が継続教育とコミュニティー教育に与える影響、国民教育への要望の高まりや教育投資の増大など、過去20年余りの人口の転換と今後の動向が教育におよぼす影響を分析。また現在と将来の人口の変動と教育との関係、教育の発展に向けたチャレンジなどについて議論したうえで、こうした問題に対して政策的な提言を行っている。

                      「チャイナネット」 2004年6月10日