中国、小麦が5年来初めて増産を実現


 現在、中国は小麦の収穫に追われている季節です。中国農業省はこのほど、「今年夏に収穫の小麦の増産を実現した」と発表しました。これは,中国にとって2000年以来の夏収穫小麦の増産となります。これについて、農業専門家は、「夏収穫小麦の豊作は、今年一年の食糧を増産する目標実現のために,確実な基盤を確立した」と見ています。

 中国農業省は人工衛星遠隔測定のデータを分析することによって、「今年、夏収穫小麦の生産高は去年の同じ時期より250万トン増え、3%の増産となる見込みだ」としています。夏に収穫する小麦は中国の夏収穫する作物の総生産高の90%を占めていることで、その増産は夏の作物全体の豊作になります。

 山東省は食糧生産の大省です。その農業庁の蒋石宝さんは、今年、山東の小麦は約50万トン増産した,と紹介し、その豊作の原因について、「その原因はいろいろある。まず、今年国家と省が食糧生産を促進するため良い政策を制定したことにある。それから、各クラスの政府が力を入れた。作業チームを現場に派遣し、農家に生産の向上を指導した。また、天気に恵まれたこともある。今年は降雨が比較的タイムリーだったし、日照も割りに十分であった」と述べました。

 ここ数年、生産手段の価格が比較的に高いことや、食糧の価格が低めになったなどで、農家が農作業で得る利益が少なくなり、生産意欲がずっと高くないことを招き、耕作面積と生産高は2000年連続して減り続けていました。

 この状況は政府の高度な重視を引き起こしました。去年から、農家の耕作に一連の優遇政策を打ち出し、この中には、「100億人民元を拠出して直接農家に補助し、農業への税をなくすか軽減し、農家に無料で農業技術の相談とサービスを提供する」などが含まれています。

 汪邦明さんは,安徽省の肥西県の農家です。彼は,記者を前に、「今年の国家の政策がいいから、耕す面積を増やし、良質な種を選んだ。夏の食糧収穫の総量は5000キログラムに達しており、このうち小麦は去年より約1000キログラム増えた」と話しました。これについて、汪邦明さんは、「以前、この農地を他人に下請けさせたが、現在はまた自分で耕すことにした。国は農業税を減らした上、食糧を生産することで手当てを出してくれる。だから、われわれ農家はやる気満々になって、もっとよく耕そうとばかり考えている」と明かしました。

 国務院発展研究センター農村部の徐小平研究員は、この現象について、「中央政府の食糧生産を励ます優遇政策が、夏収穫小麦の豊作に繋がった主な原因だ」と指摘し、その増産はこの一年の食糧の増産目標の実現に積極的な意義を持っているとの考えを示し、「中国の去年の食糧総生産高は4.3億トンだった。現在われわれが設定している目標は2500万トン増産し、総生産高が約4.5億トンに達する,としている。中央政府が耕作農家を支援するために打ち出した一連の政策は,良い効果を収めている。夏収穫の食糧は今年の食糧生産の第一段階にあり、数年連続減産の局面の是正が始まっている。もし何か大きい自然災害が起きなければ、今年の食糧増産の目標は実現できるだろう」と楽観的に見ています。

                                  CRI  2004/6/15